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すんなり上がるわけがない。英国民投票で最初に試される東京市場=E氏

FRBの優柔不断は米大統領選を見据えた演技か?それとも――

イエレンFRB議長があんなことを言うものだから、9月確度も急落し、上がったのは12月だけです。といっても、FF金利先物市場は既に織り込んでいたので、7月限は無反応でした。このところ全く動いていません。

つまり、Brexitがなくても、FOMCはどうせ利上げなんてできないだろうとタカをくくっているのです。

一方、9月限は急上昇しているので、9月利上げの確度が急低下したことを示しています。

9月限は40bpsなので、現行25bpsとほとんど変わらないので、利上げを見ている人は少数派です。これは12月限も同様です。

年末のFF金利先物見込みが42bpsなのです。FOMCメンバーのドットチャートでは、最頻値0.9%程度、最も弱気なメンバー6名の予測が0.6%程度なので、要するに「マーケットはFOMCメンバーのいうことは全く信じていないで、今年は利上げできないだろう」と見ているのです。

経済が弱いからできないのではなく、優柔不断だからできないのだと思っているのです(経済見通しをほとんど変えていないし、今回海外金融情勢がリスクとは言っていません)。

このFOMCの優柔不断さの結果、先の金利先物まで利回りは急低下してしまいました。

来年末で67bpsなので、FOMCメンバーで最も弱気な6名の今年末の見通しです。つまり、マーケットは「今年か来年か知らないけど、FOMCは来年末までに利上げ1回くらいしかできやしないだろう」という見方になってしまったのです。

2017年12月限のチャートを再度見てほしいですが、6月上旬の2017年12月のFF金利先物利回りは1%程度だったのが、たった3週間で67bpsまで低下したということは、来年末までの利上げ回数が3回から1回になってしまったということです。

この長期にわたる金利低下は、アセットローテーションに大きな影響を及ぼします。

たった数カ月程度の利上遅延なら、「そうは言ってももうすぐ利上げだったら流動性が低いアセットに入れても回収が大変だ」となるので、ジャンク債や不動産、新興国から流出し始めていた投資が戻ることはありませんが、数年も遅延するのだったら「再度新興国やジャンク債に投資するか」となってしまうからです。

このように、今回のFOMCは、事前の発言が全く意味をなさないこと、自分たちの発言のせいでマーケットが軟調になったことで逃げ腰になるという非常に情けない面を強調してしまいました。

このため、今後米国FRBによる要人発言の重要度はかなり低下するでしょう。なぜならば、ブラード総裁が急に7月利上げが望ましいと発言しても信じられますか?「お前の発言でマーケットが下がったら、それにびびってFOMCでは利上げ見送りにするんだろ?どうせ…」と思われるのが関の山でしょう。

正直言って、今回のFOMC声明と会見は激しくショックを受けました。いまだかつて、FOMCメンバーをここまで軽蔑したことはありません。

長きにわたる膨大な緩和で感覚がマヒして、正常な経済循環である
景気過熱→利上げ→金利上昇で株価調整→景気が冷える
というサイクルができなくなってしまったのでしょうか?毎年上がり続ける見通ししか作れないのなら共産主義経済国家の予算と同じレベルです。

もし、彼らがBrexitだけでなく、決して公に発言できないけど、2人の大統領候補のどちらかになるかで米国経済が大きく変わりそうなのが怖いという理由で、今回恥を忍んでバカ者を演じたとすればそれは立派ですし、愚鈍のフリをしてドル安誘導を続けている場合も非常に優秀です。

そして、その可能性は決して低くない(普通の米国人は、Brexitよりトランプが大統領になる方がはるかに怖いと思います。しかし、そんなこと口が裂けても言えるわけないじゃないですか)ですが、それは誰にも分かりません。

口だけおばさん、口だけおじさん

分からない以上は、当面FOMCの影響度は低下して、「口だけおばさん口だけおじさんがワーワー騒いでいるけど、ヘタレなので、FOMCでは何もできない」と思われてしまいますし、実際出てくるアクションもそうなってしまうのでしょう。

以上を踏まえ、私の利上げに対する見方を大きく変えることにしました。

  • 次回利上げ時期:7月(3割→0)、9月(6割→1割)、12月(0→3割)
  • 今年利上げ回数:2回→1回以下
  • 今年末FFレート:0.75%→0.5%~0.25%

変えた理由は、彼らの判断力では、今年山積しているリスクに対しゴーサインを出すことができないだろうという見方からです。

Brexitがなくても7月利上げがないだろうと判断した理由は、先のコメントがかなり強い指標じゃないと利上げしないと言い切っているためです。この期に及んでハードルを引き上げたということは、利上げしたくないのです。

今、Brexitが怖いのなら、7月FOMCは大統領候補の党大会も怖いでしょう。

7月18~21日:共和党党大会
7月25~28日:民主党党大会

そして、大統領選挙は11月ですから、9月FOMCも10月FOMCも様子見する可能性が出てきましたし、結果次第では12月FOMCも何もできないでしょう。

つまり、Brexitが不安と言っている限り、利上げなんてできなくなってしまうのです。

上の見通しで年末に利上げがあるかないかの差は、今週のBrexitの結果がどうなるかです。

  • Brexitとなった場合(EU離脱)、影響を見ると言い続けて、その結果、年内の利上げはないでしょう。
  • Brexitでない場合(EU残留)、非農業部門雇用者数が2~30万人増とかになったら、9月利上げはあるかもしれないです。

FOMCがどちらの候補に懸念を持っているか分かりませんが(常識的には分かりますが、敢えて分からないということにしましょう)、大統領が懸念された方になった場合、FOMCは労働需給が強くても12月利上げはできないでしょう。

結局、12月利上げがあると考えられるのは、Brexitじゃなく(EU残留)、雇用統計の回復が見えて、大統領がまっとうな人のときだけなのです。

こう考えると、PCEや小売売上高、CPI、雇用統計などの米国統計で利上げ確度が高まったときは、(結果的に見送る高い以上)アヤである可能性が高いようです。

以上より、今週以降、要人発言の影響度は低下します。今週議会証言がありますが、あまり重要視されないでしょう。次に要人発言が注目されるのは、今回会合でなぜ急に変貌したか、FOMCは本当は何を恐れて弱腰になっているかということをきちんと説明してくれる要人の発言が出た場合です。

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