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大阪万博“メタンガス騒動”最も割を食う愛煙家たち。ガス発生エリア付近の喫煙所は設置断念でタバコ1本吸うのに片道1㎞強の歩きが必要に

開幕を目前に控えた大阪・関西万博の会場で、着火すれば爆発を起こしうる濃度を超えるメタンガスを検知したと報じられている。

報道によれば、メタンガスが検知されたのは6日午後4時ごろで、場所は会場西側のグリーンワールド工区。消防署員と万博協会職員が屋外の電気設備地下ピットを測定したところ、基準値を上回るメタンガスが検知されたという。

それを受けて午後4時半ごろ、周囲の立ち入りを規制し、蓋を開けて自然換気を行ったとのこと。その後、午後5時半ごろには、労働者を安全な場所に退避させる基準値を下回ったという。

エリアごとに異なるメタンガス発生のリスク

振り返ること2024年3月に万博会場のトイレ建設現場にて発生した、メタンガスの爆発事故。溶接作業の火花がガスに引火し爆発したもので、幸い怪我人はいなかったものの、コンクリートの床など約100平方メートルが損傷する被害が出た。

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万博会場である夢洲といえば、埋め立てによって出来た人工島であるが、パビリオンや大屋根リングが建つパビリオンワールド工区に関しては、河川などから浚渫された土砂や建設残土が主に埋め立てられているため、メタンガス発生のリスクは低いとのこと。しかしグリーンワールド工区に関しては、一般廃棄物や上下水道の汚泥などが埋め立てられており、メタンガスが特に発生しやすいというのだ。

万博協会側はこの事態を受け、事故が起きたグリーンワールド工区にある屋根のない施設以外には、追加で換気設備を設置するなどを決め、この対策費として新たに30億円余を出費

その甲斐もあってか、今月頭に公表された今年3月までの会場内のガス濃度の測定結果によれば、1月と2月に基準値超えがあったものの、それ以外は概ね基準値を下回っているとの報告があったばかりだった。

しかしながら、ここに来て再び基準値超えのメタンガスが検知され、しかもそれを真っ先に検知したのは、開催直前のテストランに検知器持参で参加していた大阪府守口市の市議という、いわゆる外部の人間だったということで、これまで協会側が公表していた測定結果の妥当性も疑われかねない状況に。

万博開催に否定的な向きからは、かねてから格好の批判材料とされていたメタンガス問題だが、開幕まで残り約1週間といったこのタイミングで起きた今回の件を契機に、ネット上では改めて“開催中止”を求める声が巻き起こる事態になっているようだ。

引火・爆発の恐れから喫煙所の設置断念

このように会期中の引火・爆発事故の危険性を抱えながら、開幕の日を迎えることとなりそうな大阪万博なのだが、一足先にこの問題の煽りを食らう格好となっているのが他でもない愛煙家だ。

テーマが「いのち」であることを踏まえて、会場内は全面禁煙となるものの、喫煙者に一定の配慮を示し、入場ゲート付近の会場外に喫煙所が設けられることが決まっていた今回の万博。

ところが東西2か所ある入場ゲートのうち、シャトルバスなどが発着する「夢洲第1交通ターミナル」近くの西ゲート周辺は、メタンガス発生エリアということで、爆発事故を避けるために喫煙所設置が予定されていたのを断念。結局、大阪メトロ中央線夢洲駅近くの東ゲート付近に2か所設けるに留まったというのだ。

万博協会側は、想定来場者数から昨今の喫煙率を勘案したうえで、喫煙所の想定利用者数を算出。それらが一度に5~10分程度利用すると仮定したうえで必要な、計約400人分の広さを確保したということなのだが、来場者だけでなくスタッフなどの利用も考えれば、この広さだとまったく足りず、混雑期には長い行列ができるのでは……といった見方も、関係者からはあがっているとのこと。

いっぽうで、西ゲート周辺に喫煙所設置を断念したことで、そのあたりは喫煙所が全く無いエリアとなったわけだが、仮にそこから東エリアにある喫煙所まで向かうとなると、およそ1㎞程の距離、徒歩で15分はかかってしまうというのだ。

ちなみに喫煙所は先述の通り“会場外”にあるため、利用するごとに再入場の手続きが必要という面倒もあり、愛煙家にとってはとても厳しい環境と化してしまった万博会場。そうなると、いわゆる“隠れタバコ”も横行してしまい、その吸殻をマンホールの穴に捨てるようなことがあれば、最悪引火・爆発も……ということで、タバコを吸わない向きからの視線も厳しいものになりそうで、愛煙家にとってはなんとも肩身の狭い万博になることは確定的といったところのようだ。

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