利上げの可能性は意外に高い
これはあくまで勘ですが、20・21日のFOMCでの利上げの可能性は意外に高いのではないかと考えています。
利上げするか、しないかの二つに一つしかないのですが、可能性はまだ残っていると思います。
もし利上げがなくても、いずれするのですから、利上げ先送りは延命策でしかないということです。もう結論は出ています。あとは、それがいつ示現するかだけです。
ドイツ銀行の株価が急落
さらにきわめて懸念されるべき事態が発生しました。ドイツ銀行の株価急落です。16日には1日で9.3%も下げています。
今回の株価急落の背景には、米司法省が住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売をめぐり、和解金の支払いを要求したことにあるようです。
その和解金の額はなんと140億ドルです。1兆4000億円以上です。この額をどうやって支払うのでしょうか。
ドイツ銀行はすでに業績が大きく悪化しており、現在店舗縮小などで立て直しを図っているということです。しかし、縮小均衡となる中で、短期的には収益拡大は見込めない状態にあります。
このような状況にある中での巨額の支払い命令です。増資するしかないのでしょうが、誰がその資金を出すのか。
現時点で言えることは、かなりの確度で大変な事態が起きる可能性が高いということでしょう。
リーマン・ショックを思い出せ
8年前、リーマンブラザーズが破たんし、金融危機が起きました。
リーマンブラザーズは、米国の投資銀行の中では、実際にはそれほど大きな規模ではなく、もちろんリーディングカンパニーでもありませんでした。
リーマンショックが起きて、リーマンブラザーズという投資銀行が存在していたことを知った個人投資家も多いでしょう。
私たちのようなプロの世界では、この会社の位置づけはかなり低位でした。ですので、「まぁ、つぶれても仕方がないね」という評価の程度でした。
しかし、この銀行がつぶれたことの影響は、確かに小さくありませんでした。米国政府が同社を見捨てたことも、大きく影響したといえます。
その結果、世界的な金融危機を引き起こされたというのが、現時点での説明です。
当時をリアルタイムで経験していない投資家も増えてきました。あのような状況で、上手く対応できることはまずありません。
当時私は、コモディティのグローバル・マクロファンドを運用していました。
原油が147ドルを付けた後、下げ始めたところを狙ってショートを仕掛け、当時では世界的にも上位クラスのリターンを上げることに成功しました。
今考えると、自分でもかなりうまく対応できたなぁと感心しますが、普通だとあのようにはできないだろうと今は思います。
原油価格はそのあと、32ドルまで下げているわけですから、それはすごい下げだったということです。
このように、リーマンショックは様々な市場に影響を与えたわけですが、このリーマン破たんは一つの象徴でしかなく、このときの金融危機はリーマン破たんがトリガーだったわけではありません。
この点を勘違いしている方が非常に多いですね。
全ての歯車が狂いだしたのは、2007年のベアスターンズの破たんとBNPパリバショックです。ここが発端です。
海外ではリーマンショックなどという呼び方はしません。「金融危機=フィナンシャル・クライシス」です。
この点からも、リーマン破たんはあくまで一つの事象であり、それも金融危機の最終局面だったということですので、この点を間違えないようにしたいものです。