選ぶ基準は「何をリスクとするか?」
ここで「自分で運用したほうがいい」という結論に達した場合、気をつけなければいけなのは、「運用を始めて2年で自分が亡くなってしまうかもしれない」というリスクがあることです。万一、その際に「1000万円がないと困る」というのであれば、それは保険でしか用意することができません。しかしそれとて積立ではなく、掛け捨て保険に加入し、浮いたお金を別で運用する、ということは可能です。
積立保険にすれば、それだけ保険会社の運用経費がかかります。「どうせ保険に入るなら貯蓄もできたほうがお得」「保険は積立でなきゃ」という先入観は捨てるようにしましょう。
保険に入る際に基準となるのは「何をリスクとするか?」です。自分が死ぬことが最大リスクなのであれば保険が有用ですし、お金を減らすリスクを取りたくないのであれば、「自分で運用をする」という選択もできる、ということです。
【海外では、生命保険とはエグゼクティブが入るもの】
それでは、比較の意味で少し海外の保険事情を見てみることにましょう。
もともと、海外で保険に入る人というのは、基本的に富裕層です。相続等で自分が亡くなった後の分配や相続税を支払うための資金、経営者が亡くなった後の人員補填や新規採用コストなどを目的に、保険に入ります。特に突き抜けたお金持ちにとっては、自分が亡くなることによる衝撃を、極力抑えなくてはなりません。
実は富裕層であればある程、現金資産はあまり持っていないものです。彼らはほとんど不動産、株式、投資商品などで保有しています。そうなると、相続で分割する時の調整や、相続税を支払うのが大変となります。それを保険で賄うのです。
富裕層の人たちが保険に入るには、専門のコンサルタントが必要です。保険のコンサルタントは1件の契約金額が大きいので、保険のコミッションが薄くても儲かります。しかし日本の保険はたいてい支払い保険料が「月々1万円」「月2万円」…といった世界ですから、コミッションを高くしないと保険の営業マンは生活ができなくなってしまいます。だから日本の保険は手数料が高く設定されています。
とはいえ、日本の金融機関にも、海外の金融機関にはない良さがあります。一例を挙げると、きめの細かいアフターフォローやカスタマーサービスのレベルの高さなどです。「それだけ人員を抱えているから」というのは言えると思います。