【私たちの保険料はどのように使われているのか?】
前回、日本の保険の大部分が日本国債で運用されていることをお話しました。今、保険会社の収益は、日銀によるマイナス金利等の影響によって激減しています。もともと日本の保険は総じて販売コストが高く、保険会社の経営を圧迫する大きな要因となっています。
保険料を詳しく見ていくと、「主保険料」と「付加保険料」の2つの要素に分けられます。たとえば積立型死亡保険の場合、「貯蓄要素」と「死亡保障要素」の2つを合算した部分を主保険料と言います。
それ以外の会社の運営経費を「付加保険料」と言います。ここには保険会社の利益の他、先ほど触れた営業へのコミッションや代理店へのリベート(割戻し)、告知に使うパンフレット、テレビCMなどの費用が含まれています。日本の保険は海外のものに比べて、この付加保険料があまりにも高過ぎます。それだけ経費をかけているということでもあり、また保険会社がその分だけ利益を取っている、とも言えます。
日本の保険会社は、海外の保険会社と比較して社員数が圧倒的に多いことは先に述べた通りです。また、日本の多くの保険会社が東京の1等地にオフィスを構えています。パンフレットも立派ですし、CMもバンバン打っています。そのおかげで金融に詳しくない人でも、日本生命、第一生命、アフラック、メットライフといった保険会社の名前を知っていますよね?
一方、海外ではどうかと言えば、まずテレビCMを打ちません。万一、CMを打とうものなら、逆に「私たちが預けたお金で何をしているんだ!」と怒られてしまいます。なのに日本の場合は「テレビCMもやっていない保険なんて大丈夫?」と言いかねない有様です。しかしそのテレビCMを打っているお金の出どころがどこかと言えば、私たちの支払った保険料です。
シンガポールやアメリカ、イギリスなどのような金融先進国の保険会社のビルは、どこも大したことはありません。たいていはどこかのビルにテナントとして入っています。一方、日本は西新宿に行ったりすれば保険会社のビルばかりです。
投資家としては、ここで「このお金は誰が出しているのか?」ということが想像できなくてはいけません。「雑誌でよく見る」とか「テレビCMをやっている」ということが、本当に安心材料なのかどうかを、私たちは考える必要があります。