「大バーゲンセール中」の2009年にバフェットは何をしたか?
ダウ平均株価は次のような動きをしていました。
2007年10月12日:14,093ドル
↓
2008年9月15日:11,388ドル(リーマン・ショックが起きた日)
↓
2009年3月5日:6,594ドル(実際の底値は約半年後にやって来た)
↓
2012年3月16日:13,232ドル(底値から3年程度で概ね回復した)
この2009年こそ、「億万長者への特急券」が売り出されていた時でした。その時、バフェットはどう動いたのでしょうか。それがこちらです。
2009年の主な売買(大バーゲンセールの年)
購入銘柄:
○ウォルマート(小売)
⇒53.45ドル×19,092,842株=10億2,051万ドル
●ウェルズ・ファーゴ(金融)
⇒26.98ドル×29,843,517株=8億517万ドル
○バーリントン・ノーザン・サンタフェ(鉄道)
⇒98.62ドル×6,687,200株=6億5,949万ドル
売却銘柄:
○コノコフィリップス(エネルギー)
⇒51.07ドル×-42,184,943株=-21億5,438万ドル
○プロクター・アンド・ギャンブル[P&G](消費財)
⇒60.62ドル×-534,219,751株=-5億3,421万ドル
○ムーディーズ(格付け会社)
⇒26.8ドル×-16,185,390株=-4億3,376万ドル
売り越し銘柄でコノコフィリップス(エネルギー)が21億ドルとなっていて、2008年に投入した32億ドルの大半を帳消しにしています。あれ?去年、大量にコノコ株を買っていたのに!なぜ1年も経たないうちに撤退したのか?
バフェットは、その年の株主宛ての書簡(バフェットからの手紙)で下記のように述べて、コノコ株への投資を反省していました。
「石油・ガス価格が上昇することはあっても、取得したタイミングがまずかったことでバークシャーに数十億ドルの損失を被らせた」
タイミングを間違えたとのことです(バフェットでもそういう間違いを犯すんですね)。
そして購入の方は、ウォルマートとウェルズ・ファーゴを、それぞれ10億ドル、8億ドルと大量に買い増ししています。PERが2倍になったウェルズ・ファーゴを見逃さずに購入している点は、注目すべきでしょう。
リーマン・ショック直後にジョンソン・エンド・ジョンソンの一部を売却して、20億ドル弱を調達しています(参照:2008年の主な売買)。その資金をウォルマートとウェルズ・ファーゴに充てています。
10.8億ドル + 8.5億ドル = 19.3億ドル、金額的にもほぼ一致しています。
バフェットは、リーマン・ショックが発生した際、「億万長者への特急券」を購入するために資金を作る必要がありました。1年前、ジョンソン・エンド・ジョンソンやプロテクター・アンド・ギャンブルの非金融株を売却した理由がこれでした。
ここまでのまとめ
- バフェットの有名な発言「株式の適切な保有期間は永久です」は、全ての銘柄をバイ&ホールドするという意味ではない
- バフェットはイメージと違って、頻繁に売買している
- 金融危機時はポートフォリオ・リバランスを実施して、激安になった株を容赦なく買い向かっている