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バフェットの売買に学ぶ「億万長者の方程式」危機に乗じ資産倍増を狙え=東条雅彦

バフェット流、ポートフォリオ・リバランスの神髄が明らかに

ここまで個別銘柄の売買を追っていたので、少し全体像が掴みにくくなったかもしれません。そこで今度は目線を変えて、バークシャーのポートフォリオ全体を見ていきましょう。

<2016年6月末時点(最新) バークシャーの業種別割合>

金融業:32% ←金融業の割合が最も大きい!
消費財:15%
情報技術:12%
サービス:4%
ヘルスケア:4%
工業製品:2%
その他:31%

過去の推移からも、金融株は概ね30%~40%になっています。

<バークシャーのポートフォリオ 金融株の割合>

2006年:41%
2007年:31%
2008年:28% ←リーマン・ショック発生、非金融株で資金作り
2009年:31% ←以降、長期にわたって、金融株を買い増し
2010年:39%
2011年:33%
2012年:38%
2013年:43%
2014年:47% ←ここまで増やす(金融株の遅い回復力をうまく利用している)
2015年:36%
2016年:32%

バフェットは元々、金融株に多く投資しています。金融株の内訳を保有比率の高い順に並べると次の通りです。

<2016年6月末時点 金融株の保有比率>

ウェルズ・ファーゴ:17.5%
アメリカン・エキスプレス:7.1%
USバンコープ:2.64%
ゴールドマン・サックス:1.25%
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン:0.62%
VISA:0.58%
M&Tバンク:0.49%
マスターカード:0.33%

バフェットは保有銘柄を頻繁に売買しますが(これは意外ですが、事実です)、これらの金融株についてはほとんど売りません。保有比率の高い金融株は売却どころか、逆に買い増していく傾向にあります。

次に、2006年12月末時点と現時点の保有数を示します。

<金融株の保有数の推移 2006年12月末⇒2016年6月末>

・ウェルズ・ファーゴ:204,022,100株 ⇒ 479,704,270株(2.35倍)
・アメリカン・エキスプレス:151,610,700株 ⇒ 151,610,700株
・USバンコープ:23,307,300株 ⇒ 85,063,167株(3.64倍)
・M&Tバンク:6,708,760株 ⇒ 5,382,040株(20%減)
☆ゴールドマン・サックス:0株 ⇒ 10,959,519株
☆バンク・オブ・ニューヨーク・メロン:0株 ⇒ 20,827,212株
☆VISA:0株 ⇒ 10,239,160株
☆マスターカード:0株 ⇒ 4,934,756株

※ ☆印はリーマン・ショック後に追加した銘柄

この10年間で金融株はほとんど売られていません。お気に入りの銘柄であるウェルズ・ファーゴ、USバンコープについては、金融危機のドサクサに紛れて、それぞれ2.35倍、3.64倍に増やしています。

ゴールドマン・サックスについては、リーマン・ショック直後に50億ドルを出資して優先株を得ました(今は普通株に転換して保有しています)。
※参考:バークシャー、ゴールドマンに50億ドル出資へ – ロイター(2008年9月24日)

VISAとマスターカードは、バークシャーの運用マネージャーであるトッド・コームズが2011年に購入しました。

バフェットのアメリカン・エキスプレスへの投資を参考に、この2銘柄を選定したのでしょう(コームズの判断はバフェットと似ています)。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンは、2010年に買い付けています。

2006年からの追跡では、金融株で唯一、大幅に減らしたのはM&Tバンクのみでした。

アメリカン・エキスプレスへの追加投資は見送っています。これは、株価の回復が予想外に早くて、その後、急上昇したせいかもしれません。

Next: 平時は「非金融株」、有事は「金融株」に投資せよ!

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