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中国が発表する経済指標の「粉飾」を見極める3つのポイント=栫井駿介

IMFやBISは債務残高の増加に警鐘

さらに、企業や家計の借金依存がますます顕著になっています。収益性の低い国有企業の借金が膨らんで返済が困難になっているため、政府は借金を棒引きにして株式化するデット・エクイティ・スワップ(DES)を推進すると発表しました。国有企業の過剰債務は、銀行部門の不良債権として、中国経済を大きく揺るがすことになるでしょう。

同じように借金が膨らんでいるのが家計部門です。向かっている先は主に不動産です。価格が上がり続ける不動産を逃すまいと、無理に借金をしてでも不動産を購入しています。これは中国の個人投資家が、不動産価格の下落に見舞われたとたんに物件の売却もできなくなり、返済が困難になることを意味しています。これもまた、不良債権を通じて中国経済を不安定にさせるでしょう。

企業や家計の債務残高は、GDP比で2008年の147%から2016年3月時点では225%に急増し、統計に表れないものを含めるとさらに多いと考えられています。過去にこれだけ急速に債務残高が膨らんだ国は、必ずその後金融危機を経験しています。IMF(国際通貨基金)やBIS(国際決済銀行)は、債務残高の増加に対して警鐘を鳴らしています。

世界経済への影響は避けられない

債務の大部分は中国国内で完結しているため、日本のバブル崩壊のように国内問題で終わると見る向きもありますが、世界のGDPの16%を占め、経済成長の約1/3を牽引する経済が減速するようなことがあれば、実体経済を通じて世界の景気を悪化させるでしょう。

もちろんチャイナ・ショックが起きたとしても、リーマン・ショックがそうであったように、長い時間をかけてもとの経済状況に持ち直してくるでしょう。そう考えると、ショックはバリュー投資家にとってまたとないチャンスと言えます。

しかし、実際にショックが起きるまでは、これから起きるであろう大きな動きのことを頭に入れて投資に臨まなければなりません。

つばめ投資顧問は相場変動に左右されない「バリュー株投資」を提唱しています。バリュー株投資についてはこちらのページをご覧ください。記事に関する質問も受け付けています。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年11月2日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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