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レームダックTPP=青木泰樹 京都大学レジリエンス実践ユニット・特任教授

さて、TPPが国家の脆弱化をもたらすより大きな問題は、
自由貿易以外のもう一つの顔である
「自国の経済(通商)ルールがグローバル資本によって決められ、
 将来それを覆(くつがえ)すことができない」点にあります。

具体的には、
「グローバル資本(企業)は、TPP加盟国内で、
 どこまでやって許されるか」という活動範囲の線引きを
グローバル資本自身(とその代弁者たる政治家)に
させているのが問題なのです。

グローバル資本の活動の障害になっている壁である
各国固有の制度や規制を突き崩し、
将来に渡って後戻りさせないルール、
すなわち資本収益率を最大化する仕組みを
構築することがTPPの本質なのです。

以前、安倍総理は、日本を世界中の企業が
最も活動しやすい国にするために
岩盤規制をドリルで打ち破ると言っていました。

グローバル資本を呼び込もうとしていたのでしょう
(日本は、マイナス金利に見られるように、
自国内にあり余る資本が滞留しているにもかかわらず、です)。

TPPへの執着もその表れだと思われます。

今般のトランプ大統領の誕生によって、
十中八九、TPPは発効できないでしょう。

神風が吹いたのです。

それは日本にとっての僥倖(ぎょうこう)です。
しかし、あくまでも一時的な凪(なぎ)と捉えるべきでしょう。

ともあれ経世済民思想に基づき反グローバリズムを
訴える時間ができたことは喜ばしい限りです。

安倍政権には、TPPによる成長戦略を少しでも早く諦め、
国家を強靭化させる方向に舵を切って欲しいものです。

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