難題3. 日米安全保障条約の崩壊リスク
そして3つ目が安全保障問題での困難です。トランプ氏はかねてより「アメリカはもはや世界の警察官の役割を果たせない」と言っています。
そして日本に対しても、「米国は日本を守るが日本は米国を守らない。そんな不公平があるか。米軍の駐留コストを全額負担するか、北朝鮮など自国への脅威に対しては自分で何とかするかだ」と言っています。
沖縄では米軍が引き揚げてくれる期待と、米兵がいなくなっては商売ができないとの声が混じっていますが、日本政府も韓国政府も、何とか米軍にとどまってもらって、中国などの脅威に対する抑止力にしたいとの思いがあります。
そうなると、これまで以上に「思いやり予算」を増やすことになって財政を圧迫する懸念も出てきます。
日本の核保有
しかし、本当の難題は、安倍政権が密かに「チャンス」と見ている2つの問題が、逆に大きな足かせになる恐れがあることです。1つは日本の核保有です。
もちろん表立っては言いませんが、安倍総理周辺には、密かに核保有の準備を進める動きも指摘されています。原発を進める傍ら、プルトニウムを作っているのはそのためとも言われます。
その点、小泉元総理などは、野党は反核、反原発を掲げて選挙すれば、かなり勝負できると指摘しています。核問題や原発を争点にされることは、安倍政権にとっては想定外の足かせになります。
日ロ交渉の「落とし穴」
もう1つが北方領土問題など、日ロ交渉のチャンスに潜む問題です。トランプ大統領の米国なら、日本がプーチン大統領と接近しても文句は言わないだろうとの読みがあります。確かに、反ロシアのクリントン氏が大統領になるよりは交渉を進めやすいとしても、そこに1つ落とし穴があります。
日本が経済8分野などで協力姿勢を見せていることで、ロシアがある程度日本に歩み寄る可能性はあり、北方領土も一気に4島返還といかなくとも、2島を先行して返還の可能性は指摘されています。
問題は、その2島を日米安全保障条約の対象にするかどうか、という問題です。プーチン大統領とトランプ大統領が、無条件でこれを対象とすることで了承するとは考えにくい面があります。