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【理論株価】好業績を無視する日経平均は北朝鮮リスクで下落している(8/22)=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

ファンダメンタルズに変化なし、予想EPSは史上最高値を更新中

こう着状態から一転、下落へ

株式相場は6、7月と続いたこう着状態からここに来て一転、下落に転じました。北朝鮮の核・ミサイルによる挑発がグアム近海を射程にするとの発表に至り、一気に情勢が緊迫したためです。また、トランプ大統領の白人至上主義者の騒動への対応に対する反発が広がったことも、市場の不安を高めたと言えます。

この間、ファンダメンタルズに目立った変化はありませんから、ここでの相場下落の原因は市場リスクの高まりと言えます。

こうした市場リスクと相場変動の関係を、以下の図1と図2を合せて見ることで明らかにしていきます。

図1は、株式相場がこう着状態に入る前の5月から直近の8月18日までの日経平均、理論株価、日経平均の通常変動の上側と下側、そしてファンダメンタルズを示す予想EPSと米ドルレートの動きを日次ベースで示したグラフ。

図2は、同期間について市場リスク(*)の推移を示すグラフです。

(*)市場リスクの大きさは“日経平均会社“の「資本コスト」で捉える
「資本コスト」は投資家がリスク負担に対する報酬として要求するリターンを意味します。リスクが高ければそれに見合うリターン、すなわち資本コストも高くなることからリスクの大きさを表す指標として使われます。この関係を市場全体に適用し“日経平均会社”の資本コストを求めることで市場全般のリスクを表すこととします。

図1.日経平均、理論株価、通常変動上側と下側、予想EPS、米ドルレートの推移 2017.5.1~2017.8.18

170822rironkabuka_1

紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側と下側、緑線が予想EPS、紫線が米ドルレートを示します。各指標名の後の数値は直近の8月18日の値です。米ドルレートはやや軟調ながら業績(予想EPS)は好調を維持、史上最高値を更新し続けています。

こうした堅調なファンダメンタルズを映して理論株価は5月半ばから直近まで一貫して2万円近辺で安定的に推移してきましたが、8月9日(茶色の縦線)から日経平均はこの理論株価を下離れします。5月前半までは通常変動の上側と一体で来た日経平均は8月18日にはむしろ通常変動の下側が視野に入る位置まで来ています。

こうした動きの背景にある市場リスクの動きを示すのが、以下の図2です。

図2.市場リスク(資本コスト)の変遷と標準リスク、通常範囲の上側と下側 2017.5.1~2017.8.18

170822rironkabuka_2

紺色の線が市場リスク、中央の黒線が“標準リスク”、標準リスクを挟んで上下にある赤線は市場リスクの通常の変動範囲を示し、ノーマルなリスク水準の境界を示します。

図中の茶色の縦線は図1と同様、日経平均が理論株価から離れた8月9日を示します。ちょうどこの日に市場リスクが通常範囲の上側を超え、ノーマルなリスクの範囲を外れたことがわかります。

理論株価、すなわちファンダメンタルズが安定的に推移する中で、今後の相場の行く末を占う際のカギは1つの限界を超えて高まった市場リスクの動向が握っていると言えそうです。

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投資の視点』(2017年8月20日号)より一部抜粋

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