閉鎖に追い込まれるヘッジファンドが増加
予想外に1年通じて市場が安定的に推移したことで、「懐疑」に賭けてショートポジションを積んだ一部のヘッジファンドは厳しい状況に追い込まれる結果となった。NYダウが1年間に約25%上昇する一方、
ヘッジファンド・リサーチのデータで見ると、マクロ戦略を採用するヘッジファンドの今年1-11月の資産加重ベースのリターンは平均プラス3.8%で、全戦略の中で最悪。ヘッジファンド業界全体の成績は今年、平均プラス6.2%。
出典:著名資産家が支援のヘッジファンド、読みが外れ厳しい12月に-関係者 – Bloomberg(2017年12月22日配信)
と、市場平均を大きく下回り、ヘッジファンドの存在意義を発揮しきれていない状況にある。
ヘッジファンド運用者のジョン・グリフィン氏は、自身が率いてきたブルー・リッジ・キャピタル(運用資産60億ドル=約6800億円)を清算する意向を投資家に伝えた。8年に及ぶ強気相場がヘッジファンド業界への重しとなる中、同業界での30年のキャリアを終える。
出典:ヘッジファンド業界で名を上げたグリフィン氏、21年間で事業清算 – Bloomberg(2017年12月18日配信)
ニール・クリス氏は同氏が率いる22億ドル(約2500億円)規模のヘッジファンド運用会社ハッチン・ヒル・ キャピタルを閉鎖し、全ての資金を投資家に返還する。
出典:ヘッジファンドのハッチン・ヒル、成績不振で閉鎖へ-投資家資金返還 – Bloomberg(2017年12月1日配信)
ヘッジファンドの多くが11月・12月決算であることもあり、株式市場が史上最高値を更新し続ける中で、閉鎖に追い込まれるヘッジファンドが増えて来ている。
ヘッジファンドが閉鎖に追い込まれるのはパフォーマンスが悪化してきているからであり、株式市場が史上最高値を更新し続けている環境を鑑みれば、苦戦の原因が空売り戦略を採用していたことにあることは明らかである。メディア等で繰り返されたトランプ政権に対する批判は、空売りを仕掛けるファンドにとって戦略の正当性を担保すると同時に、戦略の見直しする機会を奪っていく要因となったはずである。
空売り戦略が裏目に出たことで閉鎖を余儀なくされたヘッジファンドや、資金流出に見舞われたファンドはポジションの解消、現金化を迫られることになる。その際には苦戦の原因であった空売りの買い戻しが発生することになる。
11月半ばから米国株式市場が再び騰勢を強め、最高値を更新し始めたのも、年度末を控えた空売りの買い戻し圧力が強まったからだといえる。
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