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米利上げ3回に暗雲。海外投資家は「改ざん国家」をどう見るか?=近藤駿介

FRB内にもある「利上げ慎重論」

昨年末に決まった税制改革によって雇用増や賃金増を表明する企業が増えてきている中で、それが統計として賃金増、そして物価上昇に繋がってくるかが問題だ。

税制改革という財政面からの追い風が吹き始めており、完全雇用状態の中でインフレ率が上昇してこないことをFRBがいつまでも「謎」として片付けることは難しくなって来ている。

特にパウエルFRB議長が就任時に今年の物価上昇に強い自信を示しただけに、物価上昇が確認できない状況が続けば説明責任を求める声が高まってくるはずである、FRB内には現時点でも利上げに慎重になるべきであるという「ハト派」の人間もいるので、納得いく説明ができなければ、エコノミストではないパウエル議長に対する信認がFRB内外から揺らいでくる事態も否定できない。

それは年内に後3回の利上げという利上げシナリオにも疑問符が投げかけられるということでもある。

「利上げできないかも」がリスクになる

金融市場は経済が堅調に推移していることもあり、リスクシナリオとして描いているのは今後の利上げペースが上がることになっている。しかし、平均時給の伸びが「経済統計の綾」だったことが確認された今、物価上昇がFRBの目標に近付かない状況が続けば、描くべきリスクシナリオが「今年中にあと3回の利上げできない」というものに変わってくる可能性も否定できない。

物価の安定」と「雇用の最大化」という「Dual Mandate(2つの責務)」を負っているFRBは、これまで雇用と物価上昇は正の相関関係にあることを前提に、「雇用の最大化」がほぼ実現したことで「物価の安定」も早い時期に実現するという論理で利上げを行ってきたし、市場もそれを受け入れて来た。

しかし、今後も賃金上昇率が緩慢で物価上昇率もFRBの目標を下回り続けるなど「雇用の最大化」と「物価の安定」の間に強い相関性が見られなくなってくるとしたら、FRBは「物価の安定」が実現しないのは、失業率4.1%の状況がまだ「完全雇用状態にない」からなのか、「雇用」と「物価」の間には想定したほどの強い相関がないからなのか、の説明を求められることになる。

FRBがどちらを選択したとしてもそれは論理の変更であり「利上げペースが加速する」という結論を導き出すのは難しくなる

1月の平均時給の大幅な伸びが「経済統計の綾」だったことを、市場は「ゴルディロックス相場(適温相場)の継続」と受け止め歓迎する姿勢を見せた。しかし、「経済統計の綾」だったことが明らかになったことで新しいリスクを意識せざるを得なくなって来ている。パウエルFRB議長の本音は「経済統計の綾」であって欲しくなかった、というところかもしれない。

Next: 「改ざん国家」の日本を海外投資家はどう見る?

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