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米利上げ3回に暗雲。海外投資家は「改ざん国家」をどう見るか?=近藤駿介

「季節の綾」が招く円高

「株価急落を抜けたら、そこはまた『ゴルディロックス相場』が待っていた」という情景を描いていた日本の投資家の期待に水を差したのは円高である。週末のNY市場で円は一時105円の半ば近くまで上昇する局面もあった。

円がここに来てじり高傾向を見せているのは、3月末という年度末を控えていることが影響しているものと思われる。これまで「利上げを続けるFRB vs 出口論も封印して緩和路線を突き進む日銀」という構図がドル高・円安を招くという見方が支配的であり、為替ヘッジを急ぐ必要がないと思われていたことが裏目に出た格好。

こうした決算に向けての円高は「季節の綾」であり、この面での円高圧力はFOMCで利上げが実施されることが確実視されている今週でピークを付ける可能性は高い。

「改ざん国家」の日本を海外投資家はどう見る?

しかし、一難去ってまた一難。ここに来て明らかになって来たことは政治の不安定化である。それは、日米欧の先進国の政治が不安定化してきたのと同時に、中国とロシアでは政権基盤が強固になるというねじれ現象が起きていることである。

昨年の総選挙で圧勝し、秋の自民党総裁選挙での3選が確実視されていた安倍政権も、昨年来くすぶり続けていた森友問題が公文書偽造問題に発展し、対応を間違えたら政権が維持できなくなる窮地に追い込まれている。

安倍政権の不安定化は、安倍政権が後ろ盾になっている日銀の金融緩和継続という方針にも影を投げかけるものである。安倍政権が高い支持率を維持して「一強体制」を維持している間は「出口論」も「批判」も封印できるが、「一強体制」が崩れてくればそれらを封印し続けることは難しくなる。何しろ、5年間効果を発揮しなかった政策を継続するのだから。

さらに、公文書が改ざんされていたことが明らかになり、わずかな期間に日本は企業の財務諸表から実験データ、そして重要政策を決める際の経済統計、さらには公文書まで平気で改ざんする「改ざん国家」であることを露呈してしまった。

「季節の綾」である円高圧力は今週でピークを付けるかもしれないが、海外の投資家の目に安倍一強体制が崩れて政治的安定が消えた「改ざん国家」が魅力的に映るかは疑わしい限りである。

3月末は投資家のアセットアロケーションに微調整が加えられる時期でもあるが、「海外投資家」が1月第2週から3月第1週まで9週連続で日本株を売り越していることや政治の不安定さが高まっていることから考えると、第2四半期に「海外投資家」が日本株の投資比率を引上げる決定をするとは考え難い状況にある。

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