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新設をめざす「遺言控除」の長所・短所を解説!“骨肉の争い”よサヨナラ!

実際、相続でもめるのはお金持ちだけじゃありません。財産の額と、もめるかどうかは全くの別問題です。

控除、ということは当然相続税の計算の話。相続税がかかる人は、国税庁のデータによれば、亡くなる方のうち4%(今年1月の基礎控除改正後でも6%)程度と言われています。つまり、100件相続が起きたとして、そのうち90件以上は相続税を払ってない。

控除である以上、この制度の対象となるのは、100名のうちたった4名とか6名とかだけということです。それ以外の方にとっては、特段メリットがないってことなんですね。

懸念するのは、これによって、「遺言書が関係あるのはお金持ちだけ」という間違った認識が更に広がってしまう危険性があること。

ただでさえ、お金持ちじゃない自分には相続なんて関係ない、だから何もしなくていい、と思っている人は多いです。でも、もめているのは必ずしもお金持ちばかりではありません。
少し古いデータですが、ある年に家庭裁判所まで持ち込まれた相続争いのうち、財産総額1,000万円以下の相続が約30%、5,000万円以下にまで広げるとなんと70%以上です。この辺りの方は、相続税はかからないくらいの方ですよね。

このデータでもわかる通り、相続税がかからない人たちであっても争いに発展してしまうことは多いのです。

遺言書があれば万事解決!というほど単純な話ではありませんが、それでも遺言があれば多くの争いが防げたはずだと思うと、とても残念でなりません。

いわゆるお金持ちの方は、証券会社や税理士などから遺言書の必要性について聞くケースも多いですし、そもそも相続税対策の検討の中で遺言書をセットで準備することも多い。つまりこういった方は、わざわざ控除なんて設けなくても、比較的よく遺言を書いてるんです。

一方でそれ以外の大多数の方はなかなかそういう機会もないし、自分からセミナーに足を運んだり本を読んだりして、ようやく他人事ではないことに気づく。
あえて情報を取らなければ、自分にも関係ある話なんだと気づかないまま相続が起きて、そして次世代に問題を残す。

本当にインセンティブを与えなきゃいけないのは、こういった方々じゃないでしょうか。

現実的な話としては、例えば公正証書遺言を書いたらその費用がいくらか補填してもらえるとか。個人的にはこういった制度の方が、良いんじゃないかと思います。

こういう形であれば、相続税がかからない大多数の方もメリットが享受できますし、少しは遺言に興味を持てるのではないでしょうか。

遺言書に対して国がインセンティブを与える動きはとても良い事だと思います。これで遺言を書く人が増えて、無用な争いが一件でも減れば嬉しいですし、後悔する人を一人でも減らしたいと思って活動している身としては、とても共感します。

でも対象者が相続税がかかる人、いわゆるお金持ちに限定されてしまう控除という形には疑問が残ります。

遺言控除の制度が将来的に、「自分には関係ない」と思っている方々にとって、遺言書のハードルが低くなるような制度ができる足掛かりになっていく事を期待します。

【関連】もったいない申告で損をしている人もいる「医療費控除制度」をフル活用する方法

こころをつなぐ、相続のハナシ』2015/7/8号より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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