東京オリンピックや海外の富裕層からの買いの影響もあり、日本の不動産は上昇傾向にあると言われています。しかしメルマガ「億の近道」に寄稿する株式会社マネーライフプランニング代表取締役の小屋洋一さんは、不動産の統計・指標でみるとそこまで盛り上がっているとは言えないのではないかと指摘します。
日本の不動産は本当に上がっているのか?
アベノミクスがスタートしてから、私の周囲にいる不動産事業者からは「不動産が上がっている」「景気が良い」と言った声が続々と上がっていて、それはそれで不動産価格の回復は国内景気にとって良いことですので、良い情報として受け入れていました。
その一方で、私たちが米国の景気を気にするときには、必ず「S&Pケース・シラー住宅価格指数」という指標を気にかけて、米国不動産価格市場のことを話しています。
これが中国の場合だと「70都市住宅価格指数」と呼ばれる中国の統計局が発表する指標が話題になります。
もちろん、中国の統計局が発表する統計についての確からしさに疑念があることは間違いないですが、それでも統計は無いよりもあった方が良いのは間違いないです。
翻って、日本の場合で不動産の価格の話をするときには、残念ながらあまり統計・指標の話題にはなりません。
従って、漠然と「上がっているらしい」「(不動産運用)利回りが下がっている」という公表されていない周囲の話を基に、会話がされているケースが多いです。
しかし、本当は日本にも不動産の統計・指標ってあるんです。
それは「不動研住宅価格指数」と呼ばれる指標です。
今指標は昨年末まで「東証住宅価格指数」と呼ばれて、東証で月に1回発表されている指数でした。
ちなみに昨日(2015年7月28日)の発表を見てみると
東京が91.26ポイント(前月比0.96%)、
神奈川80.83ポイント(前月比0.71%)で3ヶ月連続上昇
千葉66.27ポイント(前月比-1.46%)、
埼玉69.71ポイント(前月比-2.92%)
(2000年1月を100とする)
と過熱しているとは、言い難い状況です。特に千葉や埼玉は下げ止まらないこともはっきりと出ています。
また、東京ではアベノミクス以降は回復が顕著と言いながらも、まだ2007年当時の価格には戻っていないこともわかります。
詳しくはhttp://www.reinet.or.jp/?page_id=14347を確認してみてください。
今後はぜひ、不動産の価格の話を話題にするときには、この住宅価格指数を語るマスコミや投資家が増えると建設的な議論ができて良いなと思っています。
また、現在は東京、神奈川、埼玉、千葉だけですが、ぜひ全国の県庁所在地程度の指標を充実させてほしいと思います。 無料メルマガ好評配信中 [無料 週3~4回]
『億の近道』(2015年7月29日号)より一部抜粋
億の近道
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