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米朝首脳会談「開催」濃厚へ。なぜトランプは世界を揺さぶり続けるのか?=江守哲

トランプはとにかく「米国主導の世界」を維持したい

揺さぶるという意味では、経済面でも同様です。トランプ政権は自動車・同部品の輸入増加が「安全保障上の脅威」になっているか調査を開始すると発表しました。

また、トランプ政権は輸入車に最大25%の関税を課すことを検討していると報じられています。調査は、安全保障を理由とする輸入制限を定めた米通商拡大法232条(国防条項)に基づくものです。

トランプ政権は3月に同法に沿って鉄鋼とアルミに追加関税を適用しました。追加関税の「適用除外」をちらつかせて貿易交渉で相手国に譲歩を迫り、一連の貿易摩擦を引き起こしました。韓国には鉄鋼で除外を認める代わりに、自動車の対米輸出抑制を確約させました。

米国は現在、乗用車輸入に2.5%の関税を適用しています。関税を大幅に引き上げる輸入制限措置が取られた場合、ブランド力の高い日本車や欧州車に比べ、米自動車メーカーが価格競争で有利になるとみられます。

鉄鋼・アルミに続いて、米製造業の中核を担う自動車産業の活性化を実現すると訴えれば、大統領選で支持を集めた「ラストベルト」の支持者にアピールできるでしょう。

本当にわかりやすい政策といえます。

トランプ政権は自動車業界の関心が高い北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で、5月半ばの合意目標を断念したばかりです。また、中国との貿易協議では、習近平国家主席の要請を受けて通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対する制裁を唐突に見直し、議会の猛反発を招いたこともあります。

いろんな意味で、仕掛けながら、米国主導の世界を維持したいわけです。そのための戦略なのです。このような米国の「修正主義」は今回も様々なところで確認できます。そう簡単には変わりそうにありませんね。

日本もようやく半島問題に関与できる体制へ

さて、米朝首脳会談をめぐる動きは二転三転していますが、朝鮮半島の統一に向けた動きは変わっていないといえます。少なくとも、いまのところ、それ以上の情報はありません。

ここまでの過程で、今回の北朝鮮問題に首を突っ込むことができずに困っていた安倍首相は、資金提供に関する大枠を決めたことで、かなり深く関与できる体制ができていました。ですので、今回の米朝会談中止騒動が何を意味するかは、容易に理解できるでしょう。

今回は、北朝鮮の核放棄後の経済体制の立て直しについて、日本が資金を出すことになったようです。

日本は北朝鮮への戦後補償をしていません。そこで、今後の北朝鮮の経済復興費用、戦後補償、さらに拉致問題の解決をパッケージで進めることで合意されたもようです。

これらは、米国だけでなく、中国・韓国も強く要望したようです。特に米国の要望は相当強かったようですね。韓国だけでは北朝鮮の復興は不可能です。日本に頼ってくるのは当然でしょう。

まず、日本は戦後補償として数兆円を支払い、この資金を使って北朝鮮は復興を進めていくことになりそうです。

Next: 拉致問題「進展」が期待できる? 「国際金融筋」のシナリオとは

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