演出に次ぐ演出
22日には米朝首脳会談に向けた北朝鮮当局者との事前協議のため、ホワイトハウスのヘイギン次席補佐官や国家安全保障チームが今週末にシンガポール入りするとされていました。
一方、米朝首脳会談の開催について、両国の「仲介役」を自任してきた韓国は難しい対応を迫られていました。
文在寅大統領は米韓首脳会談で、「米朝首脳会談は朝鮮半島と韓国の運命に大きな影響を与える」とし、「私も全力を尽くす」と強調していたようです。しかし、その努力はいったん水泡に帰した格好です。
とはいえ、「シンガポールでの会談の準備中止の命令」は出ていないようです。ということは、まだまださらなる展開がありそうです。つまり、これからさらなる「演出」がなされる可能性が高いということです。何が飛び出すか、楽しみですね(※編注:原稿執筆時点2018年5月25日。トランプ大統領は26日夜、当初の予定通り米朝首脳会談を6月12日に開催する旨を発表しています)。
米国の狙いは変わらない
いまのところでは、向かっているゴールは変わっていないように思われます。
マスコミは史上初となる米朝首脳会談の「取りやめ」が話題になった時点で、北朝鮮をめぐる緊張が再燃する可能性が出てきたと報道しましたが、どうも違うようです。
現時点で、米朝は会談の最大の焦点だった非核化の方式や期間について、意見の隔たりを埋められていません。
米国は、北朝鮮が非核化と引き換えに米国による「体制の保証」や経済協力が得られると提案してきましたが、北朝鮮は米国の方式を「先に核放棄、後で補償だ」と批判していました。
また、北朝鮮の崔善姫外務次官は、ペンス米副大統領が米メディアに「北朝鮮がリビアの轍を踏むことになる」と語り、合意に応じなければ体制転換もあり得ると示唆したと批判していました。
これに対してポンペオ国務長官は上院外交委員会の公聴会で、北朝鮮の最近の発言を「残念に思う」と強調する一方、北朝鮮側から返事もなく、首脳会談の準備ができなかったとしています。
そして、今回の会談中止騒動は、北朝鮮によるペンス氏批判が判断の決定打になったようです。確かに、北朝鮮の対応は無礼ですね。特に米国から見れば、顔をつぶされたと感じるのも当然でしょう。
北朝鮮は対等の交渉をしているつもりかもしれませんが、それは到底無理な話です。自分たちが置かれている立場を正しく理解していないともいえますね。