40代、50代の人たちが親の介護のため職を離れ、そのまま社会復帰不能となる「ミッシングワーカー」。とある番組を視聴しその数の多さに驚いた無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者、廣田信子さんは、介護を引き受ける心優しい人たちがこのような状況に陥ることを憂慮するとともに、その対策について記しています。
プロフィール:廣田信子(ひろたのぶこ)
マンション総合コンサルティング(株)代表取締役、一級建築士、マンション管理士 、元マンション管理センター総合研究所主席研究員。著書『2020年マンション大崩壊から逃れる50の方法!』好評発売中。
増加するミッシングワーカー。予備軍は親を介護する優しい人たち
40~50代の「ミッシングワーカー」103万人の衝撃
気になる番組がNHKで放送されました。NHKスペシャル「ミッシングワーカー」です。ご覧になって衝撃を受けられた方も多いと思います。
今、40歳代、50歳代の働き盛りの人たちに異変が起きているといいます。「ミッシングワーカー」とは、アメリカ発の労働経済学の言葉で、働かなくてはと思いながら求職活動をあきらめているため失業者として数字にも表れない人たちのことです。その多くは、親の介護のため離職し、そのまま社会との接点を無くしてしまったのです。
その存在は知られていて、問題にはなっていましたが、今回その数字が示され、衝撃を受けました。40代、50代をみると、
- 正規労働者:1,600万人
- 非正規労働者:795万人
- 失業者:72万人
に対し、「ミッシングワーカー」は103万人にも及ぶというのです。失業者より多いのです。その多くは独身の男性です。独身のため親の介護を引き受けることになり、仕事が続けらなくなったケースも、もともと、失業等により仕事を失い、親と同居しているうちに、親の介護が始まり、そのまま求職をあきらめてしまったケースもあります。
結婚して家族があり生活も経済も独立していれば、親の介護のために仕事をやめるという選択が取りにくく、別の方法を検討せざるを得なかったところでしょうが、子供が独身で、親子で家族を構成していれば、自分が親の面倒をみなければという気持ちになるのも分かります。ましてや、自分が失業中だったり、休みさえとりにくいブラックな派遣労働であったら、介護に専念という選択はやむをえない自然の流れだったかもしれません。家があり、親の年金があれば、何とか生活していけるという事情もあります。
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