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中国企業の隠された巨額負債が、次なるリーマン・ショックを引き起こす=吉田繁治

中国のGDPは「約3%」上乗せされている

中国の総固定資本形成が高まっていることは、

  1. リーマン危機で中国輸出は打撃を受け、GDPが減少した
  2. 政府は、人民銀行にマネーを増発させて、政府の公共投資(道路、社会インフラ)を増やし、国営企業にマネーを貸し付けて住宅建設を増やして経済成長を続けた

ということを意味します。

中国では、企業と政府の設備投資計画が作られた時点で、完工済み(竣工)として、GDPに参入されるものが多くなっています。また、省を超える設備投資も、二重計上されるものがあります。

中国のGDPは約3%上乗せされていると見られます。この3%の底上げ分を、GDP成長が7%より高いときは、中央政府が低くして「調整」していくのです。

中国では、31の省が、それぞれの省内GDPを計算し、連邦政府に提出し、政府が最終集計をしています。省の幹部(官僚)の出世は、GDPの成長率なので、競争して高い率を出す。共産主義のため、国営企業のトップも官僚です。

世界的信用が低い中国マネー

中国のマネー発行は、GDPでは日本の約3倍で世界2位になっても、まだマネー信用が低い途上国型です。

OECD諸国(先進20か国)のように国債を準備資産にはせず、米ドルを準備資産にしています。理由は、中国国債の信用が低いからです。

<人民銀行のバランスシート(MUFGの調査データ)>※1元=17円

    【資産】     【負債】
——————————————————
外貨準備  365兆円  紙幣発行  124兆円
金準備    4兆円  当座預金  382兆円
貸付金   170兆円  政府預金   51兆円
その他資産  41兆円  その他負債  23兆円
——————————————————
資産合計  580兆円  負債合計  580兆円
(注)総資産・総負債は日銀の1.1倍。

2017年5月の人民元発行の裏付けは、365兆円の外貨準備(主は米ドル)です。

365兆円の外貨準備には、
・124兆円の人民元の紙幣
・金融機関が人民銀行に預けている当座預金の通貨(382兆円)
が対応しています。

外貨準備は60%から70%がドル預金・ドル証券・米国債で、30%がユーロでしょう。このバランスシートは、人民元の信用が、米ドルとユーロに依存していることを示しています。

Next: 中国のドル買いが支えるドル基軸通貨体制。人民銀行が抱える矛盾とは

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