トランプ輸入関税が中国経済に大打撃を与える
トランプが、中国からの輸入に特例の関税を課すことは、中国の対米輸出の減少と、中国景気の低下を意味します。このときは、人民銀行がドルを買って、人民元を増発しなければならない。
ところが輸出の減少のときは、買い上げるべき中国企業のドルは減っています。ドル準備制では、国内の景気を拡大させるための元増発の道が閉ざされるのです。
トランプの輸入関税は、中国に深刻な経済問題をもたらします。
中国不動産バブルも崩壊へ
中国は報復として「米国債を売る」としていますが、米国債の売りとは、「ドル売り/元買い」です。
人民銀行のドル売りは「元高/ドル安」の要素ですが、ドル準備制の人民銀行は、そのとき米国債を売った分の元の発行を減らして「金融引き締め」を行うことになるのです。
中国は、日本とは別の意味の「ドルトラップ(ドルの罠)」にかかっています。ドル安・元高で輸出が減ったとき、ドル準備制の人民銀行は金融を引き締めて、一層の元高にしなければならない。
トランプの輸入関税は、中国経済に深刻な結果をもたらします。迫られる金融引き締めから、不動産価格バブルも崩壊に向かうかもしれないからです。
中国は「ドル準備制」から離脱するべき時期に来ているが…
GDPが13.2兆ドル(1452兆円)と巨大になった中国は、「ドル準備制」から離脱するべき時期に来ているのです。
ところが中国の「ドル準備制」からの離脱は、ドル売り(元高)であり、このドル売りが、ドル基軸通貨の体制の終わりの始まりになるかもしれない危険をはらんでいます。