何のための立候補なのか?
それでは「何のための総裁選立候補か」と言われるので、改めて憲法改正をテーマに持ち出しました。
戦力を保持せず、交戦権を認めない9条の2項削除を主張する石破氏に対し、2項を残したうえで自衛隊を合法化する案を、総裁選勝利で固めてしまおうとの意図もあります。
しかしその憲法改正も、ここまでの議論や国民の理解度から見て、とても秋の臨時国会に与党案を提示し、議論を進めることは不可能です。そして、中途半端に国民投票にかければ、否定されて政権が持たなくなります。
結局、憲法改正も表面的なテーマで、実体は何もなく、ただ政権に居座りたいというのが実情ではないかとの指摘(永田町ウォッチャー)が真実味を持ちます。
3選、即レームダック化
国民の支持率が低迷する中でも、トランプ大統領と同様、一部の岩盤支持層の支持と、自民党の数の論理だけに支えられてもってきた安倍政権。しかし皮肉にも、3選を果たすとこの基盤がすぐに崩壊します。
つまり、3選が最後で4選がないとすれば、これまで安倍総理にすり寄ってきた与党議員の多くが、安倍総理から離れ、安倍政権はたちどころに「レームダック(よたよたした頼りないアヒル)」になります。
米国でも2期目の政権ではいやでもレームダック化が進み、特に後半には何も法案が通らなくなるケースも少なくありません。古今東西で見られる現象で、オバマ大統領も2期目は苦戦しています。
長期政権の下で自民党内からも「飽き」を指摘され、足元を見られると、安倍政権は急速に力を失い、ついてくる人間が減るはずです。
政権危機は「3選後」にやってくる
最初の壁が来年夏の参議院選挙です。
参議院選挙で自民党が大きく議席を減らすことになれば、安倍責任論が台頭し、安倍総理が退陣に追い込まれる可能性がありますが、その前に「安倍総理の下では選挙を戦えない」との声が高まると、これも安倍退陣につながります。
その点、安倍政権が3選後も憲法改正の話を強引に進めると、国民の反発を招き、もともと改憲には消極的な公明党の反発を招くリスクもあります。強引に憲法改正を進めることが、選挙にも自公連立にも足かせとなります。
参院選前後で安倍退陣となれば、後継として総裁選である程度の票を採れば石破氏の芽が出てきます。安倍支持表明で禅譲を期待し、総裁選出馬を取りやめた岸田政調会長の芽はなくなりました。