S&P500より約10%も成績が悪いヘッジファンド
また、中間選挙を睨んだ様々な政治的な圧力が株式市場を牽引してきたFANNG銘柄に向かい、株価に下押し圧力として作用するなかで株式市場が再び最高値更新を狙うような展開になってきたことは、空売り戦略を用いたヘッジファンドの苦しみが強まって来ていることを物語った動きでもある。
8月末時点でS&P500は昨年末比で8.5%上昇して来ている。それに対してヘッジファンドのパフォーマンスは▲1.8%と、S&P500を約10%アンダーパフォームしている。
こうしたヘッジファンドの運用不振は今年だけのことではない。2017年もS&P500を10%強アンダーパフォームしているうえ、2018年も含めて過去10年間で9敗1分と全く存在意義を発揮できていない状況ある。
昨年も多くのヘッジファンドがパフォーマンス不振で退場を余儀なくされたが、今年も同じようなことが繰り返される可能性が高いことは念頭に置いておくべきである。
ヘッジファンドの解約ラッシュが始まる
ヘッジファンドのパフォーマンスが悪化している原因の1つは、空売り戦略を取り入れていることである。こうした空売り戦略を採用したヘッジファンドが退場を迫られた場合、空売りは買い戻しをせざるを得ない。
空売り戦略を採用してきたヘッジファンドにとって最後の頼みは、共和党が中間選挙で大敗を喫し、「トランプ大統領弾劾」の可能性が高まることである。しかし、例え中間選挙結果が彼らの希望通りのものになったとしても、彼らはその結果から恩恵を受けることは出来そうもない。
ヘッジファンドの多くは11月決算である。そして、ヘッジファンドの解約申し込みは「45日ルール」といわれるように、決算の1ヵ月から3ヵ月前までに行われるのが一般的である。従って、11月決算のヘッジファンドの解約申し込みは、10月中旬頃、遅くとも10月中には行われてしまう。
つまり、ヘッジファンドの保有者は、11月6日に行われる中間選挙の結果を見ずに、ヘッジファンドを解約するか否かを判断して通知することになる。現在のパフォーマンスの状況を鑑みると、ヘッジファンド保有者の多くが解約を選択する可能性が高いことは想像に難くない。