fbpx

ヘッジファンドの退場ラッシュが支える米国株、中間選挙前にさらなる上昇へ=近藤駿介

空売りの「買い戻し」がさらなる株高を演出する

中間選挙に向けて政治的不透明感が高まっていくことは間違いない。しかし、多くのヘッジファンドはその結果を見ることなく退場させられる運命にある。

市場からの退場を迫られた彼らがとる投資行動は、「株の買い戻し」である。それは、退場を迫られたヘッジファンドが中間選挙の不透明感が増す中での株高を演出する主役になる可能性があるということである。

トランプ政権が有する様々な懸念を根拠に空売り戦略を採ってきたヘッジファンドが、中間選挙前に空売りの買い戻しを余儀なくされ、中間選挙を控えたトランプ政権に株高というプレゼントを渡すことになるというのは、何とも皮肉な巡りあわせであるが、こうしたことが起きることは十分にあると思われる。

「誰か」が中間選挙前の株価上昇を確信している

先週末のBloombergでは、次のようなニュースが報じられている。その記事は「オプション市場の誰かが、5年平均を下回って推移しているCBOEボラティリティー指数(VIX)が2月の市場混乱時の水準に戻ることに賭けている」ことを指摘している。

ある投資家は権利行使価格20ドルの11月限コール(買う権利)を約7万6000枚購入と同時に、同じ枚数の同26ドルの11月限コールと約9万5000枚の同13ドルの10月限プット(売る権利)を売却した。

出典:誰かがボラティリティー急騰に賭けVIXオプション出来高が急増 – Bloomberg(2018年9月14日配信)

この記事では「誰か」は明らかにされていないが、「退場を迫られるヘッジファンド」である可能性は高い。報じられているポジションは、20ドルのコールを買うことが主目的であり、26ドルのコールと13ドルのプット売りは、そのプレミアムを回収するためのものである。

こうしたポジションが採られたことが事実であるとしたら、この「誰か」は「足もとこれ以上ボラティリティーが低下する可能性がない」ことと、「11月にかけてボラティリティーが上昇する可能性が高い」ことを知っている主体であることは間違いない。

さらに言えば、この「誰か」は、「ボラティリティーは20%程度までは上昇する可能性が高いものの、26%までは上昇しない」という強い見通しを持っている。それは、ボラティリティー上昇を招くのが「株価下落」ではなく「株価上昇」であるということを認識しているからだといえる。

Next: 中間選挙前後で風向きが変わる? ヘッジファンドの最後っ屁に警戒を

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー