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日経平均、27年ぶり高値圏へ。今こそ身につけたい「誰でもバフェット投資術」=栫井駿介

スルガ銀行の公表資料を鵜呑みにし、傷口を拡大

2017年は一貫して株価が上昇した年でした。推奨していた株も順調に上昇し、私は早い段階から次々に利益確定を行ってしまいました。その結果、上昇相場が続く中で手持ちの銘柄がなく、相場に置いていかれることになってしまったのです。

バリュー株投資の考え方からすると、上昇相場だからと言ってむやみに割高な銘柄を買うのは正しくありません。そう考えて、新規の推奨を控えてきました。一方で、投資顧問として新規の銘柄を推奨できないのはいかがなものかという葛藤もありました。

今となって考えると、割安な価格で仕込んだ優良銘柄をただ持っていればよかったのですが、売ってしまっては後の祭りです。後悔の念に駆られながらも、今からでも買える割安銘柄を探し続けました。

上昇相場ではいい銘柄はどんどん上昇してしまいますから、残る割安銘柄は不祥事や何らかの問題がある銘柄がほとんどです。それでも、問題が一時的なら株価の下落はチャンスだと考えていました。

そこで飛び込んで来たニュースがスルガ銀行<8358>の問題です。シェアハウス投資に関するずさんな融資が報じられ、株価は高値から半分に値下がりしていました。

これまでの業績は右肩上がりで、地盤沈下が叫ばれる地銀の中で唯一気を吐いていました。シェアハウスの融資額は当初700億円とされ、3兆円の融資額に対しては小さく見えました。さらに同行の融資の3分の2は住宅ローンと公表されていたことから経営全体に与える影響は大きくないと考え、千載一遇のチャンスとばかりに推奨したのです。

しかし、傷口はどんどん拡大していきました。ずさんな融資はシェアハウスにとどまらず、不動産投資向け融資全体に及んでいたのです。それでも、不動産投資向け融資は6,000億円と公表されており、3兆円の融資に占める割合は限定的だと考え、ナンピン買いを勧めてしまいました

ある朝、とんでもないニュースが飛び込んできました。実は不動産投資向け融資は6,000億円ではなく2兆円で、そのうちの半分の1兆円がずさんな融資だったと言うのです。公表資料で「住宅ローン」に分類されていたものの多くが、実際は不動産投資向け融資だということでした。

このニュースを受け、それまでのストーリーが完全に崩れてしまいました。他の銀行では住宅ローンを借りられない人に対し、独自の審査により割高な金利で融資できるのが強みととらえていましたが、蓋を開けてみるとほぼ「無審査」で「不動産投資」に融資していただけだったのです。

スルガ銀行<8358> 週足(SBI証券提供)

スルガ銀行<8358> 週足(SBI証券提供)

ニュースを見て早朝に売却を推奨するメールを流しましたが、遅すぎました。すぐに売った人以外の大多数の会員はストップ安で売れなかったのです。会員の方々には、謝っても謝りきれません。

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