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外国人労働者の受け入れ拡大へ。移民への拒否反応がすごい日本で通用するのか?

入管法改正は「移民政策ではない」?

「政府としては、いわゆる移民政策をとることは考えていない…」

安部総理は、10月29日の衆院本会議で立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答え、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管法改正案について「移民政策」ではないことをあらためて強調し、「深刻な人手不足に対応するため、即戦力になる外国人材を期限付きで受け入れるものだ」と説明しました。

安倍総理の発言から、今回の入管法改正は、決して移民政策ではないというのが政府の見解です。誰がなんと言おうと、入管法改正は移民政策ではないのです。

2016年5月24日自由民主党政務調査会労働力確保に関する特命委員会における「「共生の時代」に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」という政策書の注釈に、自民党が考える移民の定義が記載されています。それによれば、

「移民」とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受け入れは「移民」には当たらない。

となっています。「入国の時点でいわゆる永住権を有する者」という定義は、まさに自民党だけの考え方であって、国際的に通用するものではないでしょう。

大転換した「入管法改正」の中身

「入管法」というのは略称で、正式には「出入国管理及び難民認定法」となっています。

「出入国管理」ですから、日本に来てもいいよという許可を出すための決め事とお考えください。今回の改正は、その条件変更をするわけです。

これまで高度な専門人材に限って外国人労働者を受け入れてきました。これを、単純労働を含む外国人労働者の在留を認めることにするわけですから、まさに、今回の入管法改正は大転換となるわけです。

現在の在留資格は、大きく分けて5つに分類されます。

  1. 専門的・技術的分野:語学教師や大学教授、企業経営者、弁護士、医師など
  2. 身分に基づく在留資格:日系人などの定住者や日本人の配偶者等を持つ永住者
  3. 技術実習:技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的とした外国人技能実習制度で来日して報酬を得ている人
  4. 特定活動:経済連携協定(EPA)に基づく看護師や介護福祉、ワーキングホリデーなどで訪れている人々
  5. 資格外活動:学校に通いながらコンビニや居酒屋などで働く留学生

留学生の場合は、この在留資格の活動を阻害しない範囲(原則週28時間以内)で働くことが認められています。

上記専門人材から単純労働にまで拡大する入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設けるとしています。

  1. 特定技能1号…「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人最長5年の技能実習を終了するか、技能と日本語能力試験合格
  2. 特定技能2号…さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人

<特定技能1号者>

・在留期間は通算5年
・家族帯同は認めない

<特定技能2号者>

・1~3年ごとの期間更新が可能で回数制限はない
・家族帯同は認める
・長期就労可能(10年滞在で永住権取得要件の一つを満たす)

<1号で対象として想定している業種は…>

介護、ビルクリーニング、素形材産業(イメージ的には町工場)、産業機械製造、電気・電子機器関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食

受け入れ先機関は日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要があります。直接雇用を原則とし、分野に応じて例外的に派遣も認めます。

Next: 労働力を借りるだけ、永住者は増やさない? 細かい取り決めは「これから」

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