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ソニーの復活が象徴する、日本市場に対する投資家のストック・マインド=山崎和邦

狭いレンジの動きで循環買い相場が続くと見られる日本市場

何を買っても2倍か3倍になるという本当の意味での「大底」は容易には来ない

その理由は簡単に言えば、高株価維持が国策だからである。だいたい中央銀行が株式投信を直接に買い支えるなどということは先進国で日本以外にない。午前中のTOPIXが0.5%下がると後場に日銀がETF株式投資信託を買うことになっている。中央銀行が株を買い支えるなどという先進国は再度言うが世界にない。

はっきり言えば、高株価は国策である。高株価による資産効果によっての消費活性化を狙っているが、なかなかうまくいかない。したがって高株価政策は簡単には止めることは出来ない。少なくとも安倍政権が続いている間は、黒田日銀総裁と麻生財務相はこれを続ける。GPIF所管の人事さえも株価に理解ある者を選んでいる。そういう間は、株式は循環買い相場の様相を呈するであろう。

つまり今年前半のように小型株の饗宴が来たり、またはこの2年間を通して現象面に現れたように、先に大天井をつけて先に里帰りした(個別に大底を付けた)著名銘柄である。これは昔の萱場工業ことKYBや名門地銀だったスルガ銀行のように、事件性によるものと減収減益によるものがある。あるいは小型株の乱舞である。

そこで今回は小型株について考えてみると、次のようなことが言える。

小型株は大型株に対して輸出産業の占める割合が低い。したがって世界景気動向と関係なく利益成長が認められる場合が多い。しかし、大型株に対して小型株の方が優位にあるという点を探すのは難しい。

今回は「野村週報」の11月5日号を要約する。「小型株は情報が株価に織り込まれる速度が大型株と異なる。9月末時点で大型株の構成企業は平均9.3名のアナリストにカバーされているが、小型株をカバーするアナリストは平均2.1名に留まる」。

つまり証券会社の調査力が小型株に対しては薄いということだ。中小型投資信託への資金流入も鈍化した。小型株が有利で新しい時代が来たという見方も今年前半には一部にはあったろうが、それは循環物色買いの一様相であるとしか言えない。

欧米と比較した日本株の割安感

但し、これは単なる「レベル」の問題である。トレンドはまた別のところにある。レベルから言えば、東証一部の予想PERは14倍前後であり、アベノミクス相場の下限に近い。

一方、企業の純利益の伸びは順調に伸びているが伸び率は鈍化している。市場は「絶対値」よりも「伸び率やそのスピード」を敏感に嗅ぎとるものである。世界経済の先行き不透明感、米中貿易戦争の波を必ず受けるという不安感等々あるが、株価の基本構成要素はやはり企業業績そのものである。11月以降は19年度業績に市場の関心が集まるであろう。

4~7月決算をひと言でまとめるとこうなる

利益水準は高い。しかし増益のスピードが落ちた。つまり減速感が出てきた。株価変動はレベルそのものよりもトレンドを見るし、スピードは上下いずれにも自乗倍で効く。物理学の「E=MV自乗」は株価変動にも作動する。(既報で既述)。

企業業績に一服感が出てきた。ニュートンの運動の法則を真似れば「静止している物は他から力が加えられない限り(外部要因ない限り)静止し続ける」、つまり、狭い範囲での往来相場が続く、ということになろう。

主要企業の半数が株式市場の期待値に届かなかった。貿易摩擦の陰が現実に実勢悪として現れ始めたのだ。これが10月の株安の一因となった。貿易戦争の陰はやはり“This is Japan.”の代表格トヨタグループに現れた。4~9月期はグループ8社中6社が最終減益となった。

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