充実の消費増税対策も「負担は国民」
さらに、外国人労働者を活用しなければならないほど人手不足が進む中で、国土強靭化・災害対策事業を進めても、人手の確保、工事の進捗が進まない点も指摘されます。
そして、移民ではないとして外国人労働者の受け入れ態勢が整わないまま、入管法改正を強行採決する政府には、国民の間からも危惧の念を持たれています。
消費税対策として大盤振る舞いをしても、その資金負担は結局、国民に回ってきます。一部のグループに利益供与し、その資金負担は低所得者も負担するこの資源配分は、財政政策的にも褒められたものではありません。
経済財政諮問会議の質的劣化が言われても仕方ありません。
また、中小小売店では、これらポイント制やキャッシュレス体制をとるための設備投資をする必要がありますが、これが進んでいません。9か月かそこらのために機械設備を入れるのはコスト負担が大きく、安倍政権が本気で消費税引き上げを実施するのかにも不信感があると言います。
消費税以外の要因も
これだけ、拙速に大盤振る舞いの対策を打ち出す背景には、何か特別な要因が隠されている可能性があります。
消費税引き上げの景気への影響を心配するには、異常さを感じます。それだけ悪影響があるなら、引き上げを拒否して選挙で問うほうが安倍政権らしさがあります。それだけに、この背景には別の何かがありそうです。
そもそも、早くから引き上げを表明した背景には、米国からの武器購入拡大要請があり、それにこたえるには5兆円の財源が必要でした。
その財源として消費税が狙われた可能性があります。
日米通商交渉で日本経済は大きな打撃を受ける
さらに、消費税とは別に、景気への負担材料があることです。国民の前には明らかにしていませんが、日米通商交渉で、日本経済が大きな打撃を受ける可能性です。
具体的には対米7兆円の黒字削減を求められ、F35戦闘機の購入増だけではまったく穴が埋まらず、農業分野で米国に市場開放しても、たかが知れています。
そして米国は日本の自動車輸出を最大100万台減らし、米国での現地生産にシフトせよと求めてきています。これを受け入れれば、日本のGDPは5兆円以上減少し、自動車業界は大打撃を受けます。
消費税対策と称して、実は米国との通商交渉の影響も考慮した対策が打ち出されている可能性があります。対米自動車輸出は2017年で174万台ですが、100万台も削減することになれば、下請け企業への影響まで含めると、日本のGDPは1%以上減少し、自動車業界は利益の源泉を失うことになります。
自動車税の減税くらいではとても穴埋めできない痛手となります。