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トランプ勝利で終わった米中会談、90日後の大波乱を予感させる米国市場の異変とは?=近藤駿介

貿易戦争の休戦が決まった米中会談。90日の猶予で協議がうまく行くとは思えず、中国側が妥協を迫られる可能性が高い。そんな中、米国市場に異変が現れている…。(『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』近藤駿介)

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プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。著書に、平成バブル崩壊のメカニズムを分析した『1989年12月29日、日経平均3万8915円』(河出書房新社)など。

単なる問題の先送り。気になるのは突然ハト派に転じたFRBの動向

先送りされた米中全面対決

先週の金融市場は、米中首脳会談に対する楽観的な見方が広がったことと、ここに来て突如ハト派的になったFRBを好感して予想以上の上昇を見せた。

世界中の注目を集めたG20における米中首脳会談は、中国が貿易不均衡是正に向けて歩み寄りをみせたこともあり、米国が2019年1月1日から予定していた2,000億ドル相当の中国製品に対する関税を25%に引き上げることを90日間猶予したことで、全面対決という最悪の事態は一旦先送りされる格好になった。

米中首脳会談の結果は、貿易不均衡問題は黒字を抱える国が歩み寄るという原則通りの展開だったといえる。

中国が見せた歩み寄りは、米国産農産品を「すぐさま購入を開始する」ことと、エネルギー、工業製品などを「大量に購入する」こと。トランプ大統領の支持基盤にターゲットを絞った米国農産物に課した報復措置を中国が自ら撤回したことは、米国による関税引き上げが中国経済に打撃を与えていることを示唆したものといえる。

90日間の猶予で協議される5つの分野

今後、米中間で協議対象となるのが

  1. 米企業への技術移転の強要
  2. 知的財産権の保護
  3. 非関税障壁
  4. サイバー攻撃
  5. サービスと農業の市場開放

という、90日間という短い期間内で中国側が妥協し難い5分野であることを考えると、常識的には米国が90日後に関税引き上げに動く確率はかなり高いといえる。

90日後に関税がすぐさま25%に引き上げられるかはまだ定かではないが、90日間という、あってないような短い交渉期間のなかで、中国が貿易戦争を回避したいと思うのであれば何かしらの妥協を迫られることは間違いないところ。

米国側が農産物などで実利を得た以外は単なる問題の先送りともいえる今回の米中首脳会談の結果は、金融市場にとって現時点で考えられる現実的で最良のものだったといえる。

その一方で、この先90日間、妥協が難しいと思える分野の交渉に気を揉まなければならない不透明な状況に陥ったともいえる。

Next: 好意的に受け止めた市場。気になるのは突然ハト派に転じたFRBの動向だ…

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