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米中貿易戦争「休戦」でも市場のマインドは変わらない~見えない終戦への道筋=久保田博幸

1日に行われた米中首脳会談で、米国が来年1月に予定していた対中制裁関税強化の猶予を決定。貿易戦争は一時停戦となるが、投資家心理はどう変化するだろうか。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

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「90日の停戦」で協議がまとまるのか? 終戦はまだまだ見えない

ただの先延ばしでも一定の評価か

1日にブエノスアイレスで開かれた米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談では、米国が来年1月に予定していた対中制裁関税の強化を猶予することを決定した。

米中貿易摩擦の発端はトランプ政権の発端にあるものの、いずれこれほど極端なかたちではなくても、米中の貿易摩擦が起こるのは必然ともいえた。それだけ中国の存在感が高まっていたともいえる。

トランプ大統領はこの決定に対して、「米中首脳による素晴らしいディール(取引)になった」と自画自賛したようだが、今回の決定はあくまで一時的な猶予期間を設けたに過ぎない

それでも会談にこぎ着けたこと自体は多少なり評価しなければならないかもしれない。

米中貿易戦争は終わらない

米中貿易戦争は一時的な休戦条約を締結した格好だが、貿易戦争を仕掛けたトランプ政権内で、主戦派と和平派が存在していることで、終戦に至る見込みはたっていない。

今回のディールのお膳立てをしたのが、和平派というか国際協調派のムニューシン財務長官クドロー国家経済会議(NEC)委員長などとされる。米中貿易摩擦を睨んだ株価の動きなども当然意識したものとなっていよう。

これに対して首脳会談にも臨席したライトハイザー通商代表部(USTR)代表ナバロ大統領補佐官らは主戦派、つまり対中強硬派は中国に対する批判を弱めていない。

米国は、中国が米国の先端技術を不当に奪って次世代産業を育成し米国の覇権を脅かそうとしている、との危機感を抱いているとされている(3日付毎日新聞)。

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