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南沙諸島、日本郵政、アップル~市場を賑わせた相場カタリスト=櫻井英明

今後の相場を動かしそうな材料、触媒のことを市場では「カタリスト」と呼びます。知ればもっと投資が面白くなること間違いなし、今週前半のマーケットで注目を集めた代表的な材料を、『兜町カタリスト』を発行する櫻井英明さんがギュッと凝縮して解説します。

市場はどう受け止めた?南沙諸島、日本郵政、アップル決算

米海軍の南沙諸島哨戒

ようやく来たか、というのが米海軍の南シナ海での哨戒活動。

中国との完全友好の動きを英国が示し人民元のSDRも支持したのが21日。優柔なオバマ氏もあそこまでの蜜月を見せられては動かざるを得なかったのだろう。

安部首相は遠くカザフスタンの地から「国際法に則った行動と理解」と支持の動き。英中VS日米の構図が色濃くなってきた。

新聞論調は「米中の対立の新たな段階」。軍事パワーからすればまだまだ米国に軍配があがる。ただ今回は中国も面子があるだろうからにらみあいは継続観測。

穿って考えれば……。90年代の軍事バブル→ITバブル→2000年代の不動産バブル→2010年代の資源バブル。これがアメリカ経済繁栄の背景。資源バブルの象徴であるシェールバブル崩壊の受け皿が、再び軍事バブルを想定しているのだろうか。

一方では揉めると思っていた債務上限引き上げ問題は共和党のベイナー下院議長が大筋合意。2017年3月まで引き上げ歳出額も増加の方向。国防費の強制削減の緩和などで800億ドル増加させるという。

アメリカの財政はまた傷むのだろうが、どうも動きは軍需バブリーな時代を迎えそうな雰囲気となってきた。別々の記事を読み合わせえるとこういうシナリオになる。

結論は目先株高で良いのだろう。それも軽薄短小ではなく重厚長大産業で。因みに渦中の南シナ海南沙諸島は1945年の敗戦までは日本の占領地。人ごとではないということもある。今更東インド会社やジャーディン・マジソン商会の世界の話でもなかろうが……。

日本郵政とニュースの「無理筋」

場況というのは時として奇妙さを提供してくれるもの。

10月23日時点の信用買い残が1035億円減少し3兆820億円。「この週の日経平均株価は533円(2.9%)上昇し、8月31日以来の水準を回復した」。逆張り行動の個人が株の上昇で利益確定売りが出たのだろうという観測は理解できる。

面白いのは引用されたコメント。「郵政株の抽選に応募する個人が購入資金を確保するために売りを出した」。

信用買い残の減少の話題の中での売りは当然信用買いの手じまいを想像させる。しかし信用の枠を空けたところで、郵政の公募を信用で買えるわけではない。

信用取引の益金を確保して郵政に応募するということはあるかも知れない。あるいは信用担保を売却して現金を捻出するために建て玉を売却することもあろう。

しかし信用買い残の減少が「郵政応募資金確保」というのは相当無理筋なシナリオ。話題と市場をこじつけようとするからこういうコメントにすがってしまうのだろうか。単に「上ったから売った」の方がよほどスッキリする。

エルニーニョによる暖冬

泣きっ面に蜂というのがエルニーニョによる北米の暖冬予想。

10月になってもTシャツで過ごせる米北東部というのは確かに暖かい。暖冬→発電需要減衰→天然ガス需要減→価格下落の構図。ただでさえシェールが余ってどうしようもないのに天気も予報も敵となってきた。

そのうえ車が水素で走るようになったら、産油国と消費国の構図も大きく変わろうか。その意味では従来的地政学、従来的市場論理は通じなくなる可能性は大きい。

アップル決算

一応懸念されていたアップルの決算は通過。

9月26日までの第4四半期は、純売上高が22%増の515億ドル。新型スマホ「iPhone6S」、「6Sプラス」の発売が追い風。iPhone全体の売り上げは36%伸びた。

純利益は111億2000万ドルで、前年同期の84億7000万ドルから増加。アナリスト予想平均である売上高511億1000万ドルを上回って着地した。iPhone販売台数は約4805万台(前期比24%増)でアナリスト平均4872万台よりやや少なめ。ただ中国売上高は倍増の125億2000万ドルで売上高全体の約4分の1。

アップル<AAPL> 週足(SBI証券提供)

アップル<AAPL> 週足(SBI証券提供)

もっとも第4四半期がよいというのは10~12月のベストシーズンの先食いという声もある。いつものように「保守的」な数字であれば問題はないのだろう。アップル株は時間外取引で2.6%高となった。

通過すればよいだけのことではあるが、市場の関心はiPhone7に移ろうか。

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「兜町カタリスト」』(2015年10月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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