パッシブ運用とETFへの資金集中を理由に、米株の下落を予想する米国の債券王ガンドラック氏。受け身のはずのパッシブ運用が下落の原因となる理由を解説します『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年12月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
パッシブ運用のはずなのに…アクティブな動きをする理由
パッシブ運用とアクティブ運用何が違うのか
アメリカの著名債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏が嫌なこと言っています。
米株下落を予想する根拠として、「パッシブ運用とETF(上場投資信託)に資金が集まり過ぎ。『マニア』だ」と述べているのです。
資産運用の世界では運用の仕方として大きく2つ、「パッシブ運用」と「アクティブ運用」とに区別されます。
運用においては、基準となる「ベンチマーク」が予め設定されます。ベンチマークが「普通預金」であれば、基準となる運用利回り(リターン)は普通預金金利です。TOPIX(東証株価指数)がベンチマークであれば、基準はTOPIXの値動き、リターンとなります。
「パッシブ運用」は「パッシブ」の意味「受け身」が示すように、ベンチマークと同じリターンを得るような資産組み入れ(ポートフォリオ構築)を行い、あとは相場がどう動こうと「受け身」を貫きます。
ベンチマーク内で銘柄入れ替え等の特性変更があったときだけ、ポートフォリオも動かす、そんな運用が「パッシブ運用」です。
ちなみに、債券運用のベンチマークで採用される主な債券インデックスは毎月末に更新されます。そのため、債券のパッシブ運用では月末(と場合によっては月初)に売買が集中します。債券市場での「月末買い」は、インデックス更新に合わせた売買によって生じるものです(アクティブ運用でも「月末買い」は発生します)。
「アクティブ運用」は文字通り「アクティブ」、「能動的」な運用です。ベンチマークを定めるのはパッシブ運用と同じですが、運用方針に「ベンチマークを『上回る』運用を目指す」と記されています。
TOPIXが年5%のリターンを得たとするならば、5%以上のリターンを目指すのが「TOPIXをベンチマークとするアクティブ運用」です。
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