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2019年、安倍政権は米ロに引導を渡される?日本経済を襲う政治リスクと4つの壁=斎藤満

2. 消費税引き上げは微妙

対米自動車規制の発動が早いと、株価のさらなる下落も予想され、日経平均が1万7千円も割り込むようなら、10月の消費税引き上げが困難になります。

消費税の決断前に判明すれば再延期もできますが、増税を決め、準備が整ったところで自動車規制が実施されると、消費税の取りやめができずに消費税とダブルの影響が出て、経済の混乱が大きくなります。

消費税の引き上げ自体はその対策が過剰なまでになされるので、影響は軽減されますが、それでも10月以降の消費の縮小は止められず、政権には大きな負担となります。

自動車問題が春までに露呈すれば、消費税の引き上げは中止される可能性があります。準備を進めている中小小売店はハシゴを外されることになります。

3. 北方領土問題

安倍総理は、ロシアのプーチン大統領との間で懸案の平和条約を締結し、56年の日ソ共同宣言に沿って歯舞、色丹の2島返還を目指し、その成果を持って衆参ダブル選挙に勝利することを考えています。長期政権をレイムダックなしに盤石なものとするためですが、これも楽観を許さなくなりました。

つまり、モスクワは太平洋戦争によって北方領土はロシアのものとなり、返還はあり得ないとの姿勢を強調、肝心なプーチン大統領も2島引き渡しと言っても領土権を返還するとは書いていないと、言い方を変えてきました。

そしてロシア政府は択捉島、国後島に軍事施設を建設し、軍人やその家族を送り込み、実効支配を広げています。

2島返還どころか、1島も帰ってこず、経済協力だけさせられては、国民を到底納得させられません。プーチン、トランプの間には連携があり、安倍総理を「仲間」と受け入れていれば、北方領土返還でも米軍は配備しないとの約束で返還を後押しするかもしれない反面、2島返還も拒否して、2人が安倍総理に「引導」を渡すことになるリスクもあります。

そこには天と地の差があります。

4. 日銀の手詰まり

最後に今後株価がさらに下がっても、日銀が手詰まりで対応余地がなくなっていることです。

リフレ派の求めに応じて日銀は6年近くにわたり、異次元緩和をしてきましたが、結局物価目標を達成できず、論理破綻がはっきりするとともに、金融機関を経営危機に陥れる副作用を強めてきました。

先日公表された10月会合の議事要旨を見ても、日銀の手詰まり感が色濃く表れ、挙句の果てには、銀行の経営悪化は銀行自身にも責任があり、不採算な融資はしなければよいとも言っています。不採算融資の金利環境を作ったのはほかならぬ日銀で、不採算融資を止めれば、信用の縮小、マネーストックの縮小となり、やりすぎた金融緩和がむしろ引き締め的に作用するようになったことを認めたことになります。

つまり、日銀は意識してかどうかわかりませんが、超金融緩和が信用創造を阻害してこれ以上実態的なマネー(マネタリーベスではなくマネーストック)の拡大を困難にするほど副作用が強まっていることを自ら示したことになります。

しかも、米国からは為替条項を突きつけられそうです。

Next: 悲観シナリオが優勢に。新年早々、日本は様々な政治リスクに直面する

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