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手術も可能に? VRはブロックチェーンとの融合で遠隔医療の高度化が進む理由=高島康司

ブロックチェーンとの融合

一方、このように急速に発展しているVRを管理しているのは、既存の中央集権的なサーバである。こうしたVRがブロックチェーンと融合すると、中央のサーバで管理された既存のVRにはない機能が加わる。これにより、VRの適用分野がさらに拡大する可能性が出てきた。それらをまとめると以下のようになる。

1)データ処理の分散化

VRでは膨大なデータから画像や映像、そして音声を生成するレンダリングという作業が不可欠だ。これはコンピューターのGPUに大きな負担をかける。GPUの処理速度が十分にないと、レンダリングに遅延が生じ、VRの動きが悪くなってしまう。

一方VRにブロックチェーンを適用すると、スマートコントラクトなどを活用して条件を指定すると、ブロックチェーンのシステムにつながっている複数のコンピューターでレンダリングの作業を分散化することが可能になる。特定のコンピューターのGPUへの付加が一定の水準を越えると、ブロックチェーンのネットワークにある他のコンピューターに作業を分担させるというような条件の設定だ。すると、処理の負担も分散できるので、レンダリングの高速化が実現できる。特にこれは、VRによる遠隔手術など、ミスが許されない現場では不可欠になる。

2)バーチャルオフィスにおける仕事の管理

また、ブロックチェーンはバーチャルオフィスの管理でも大きな力を発揮する。

高速なVRがリアルタイムで実現できれば、本格的なバーチャルオフィスの構築も可能になる。VRの世界の現実と変わらないバーチャルオフィスを作り、そこに人々が集まり実際にあらゆるオフィスワークを行うことができる。

基本的にブロックチェーンとは、ブロック化されたデジタルデータを暗号化し、複数存在する分散台帳に書き込むデータ管理のテクノロジーである。これをバーチャルオフィスに応用すると、勤務時間やオフィスの入出などのデータが確実に記録され、安全に管理できる。

3)不動産の管理

次に、VRの世界における不動産の所有権の記録と管理である。

10年ほど前に大ブームを迎えた「セカンドライフ」だが、VRの世界における不動産の所有と開発という分野を切り開く大きな実績を残した。「セカンドライフ」の不動産開発の生み出す収益で生活する人々も出現した。

しかし、「セカンドライフ」の不動産売買には不安定な要素もあったことはいなめない。それは、VRでは現物として不動産が存在しているわけではないので、バーチャルな不動産の所有権をどうやって安全に保証するかという問題である。もし所有権の確実な記録ができなければ、VRでいくら不動産の売買ができるシステムを開発しても、あまり意味がない。せっかく買ったVRの不動産の所有権が確定できないのだ。この不安を払拭しきれないことが、「セカンドライフ」の弱点であった。

このような状況に、不動産の所有権をブロックチェーンに登記できるシステムがあれば、VR空間であっても不動産の所有権は確実に保証できる。

Next: そのほかに、VRとブロックチェーンがマッチするジャンルとは

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