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手術も可能に? VRはブロックチェーンとの融合で遠隔医療の高度化が進む理由=高島康司

4)ショッピングモールの有効な支払い手段

また、「セカンドライフ」の実績のひとつは、VR空間でショッピングモールを建設して、実際のショッピングができるようにしたことである。客がモールの店に入り、VRで展示した見本から商品を選ぶと、製品が実際の店から後で送られてくるというシステムである。

このときの支払い手段は「セカンドライフ」などのVR空間で使える独自の通貨である。「セカンドライフ」の場合は「リンデンドル」であった。ショッピングを楽しむためには、クレジットカードなどを通して事前にこの通貨を購入する必要性がある。そのため、VR空間でのショッピングはクレジットカードを持っていないとできない。

しかしながら、いまだに8割を越える世界の人口はクレジットカードも銀行口座も持っていない。これがVR空間でショッピングを楽しめる人口を制限している。「アマゾン」などのオンラインショッピングサイトと同様に、VR空間のモールはクレジットカードと銀行口座を持つ先進国の人口に限定されたサービスとなる。

もしこのような状況で仮想通貨が使えるのであれば、VR空間のショッピングはこの制限を越えて拡大できる。すでにスマホを介した仮想通貨は、新興国や低開発国でも一般的な支払い手段になりつつある。多くの地元の商店では現金を仮想通貨に換金するサービスを提供しており、これを利用するとスマホのウォーレットに入った仮想通貨でショッピングができる。VR空間のショッピングモールでこうした仮想通貨を使えるのであれば、モールの拡大の制限はなくなる。

ブロックチェーンを導入したVRのプラットフォームであれば、仮想通貨による支払いは問題ない。これが、「セカンドライフ」のようなVR空間におけるショッピングの制限を突破し、拡大させる。これから、カジノ、コンサートホール、アートギャラリーなどサービスの提供をするサイトが増えると、仮想通貨による支払いができると一層便利になる。

5)分散的ストリーミング

VRの急速な発展で、あらゆる種類のスポーツやゲームなど現実と変わらないリアルな体験ができる。もちろんこのためには、データの高速なストリーミングが必要になる。しかしこれらが、中央集権的なサーバの存在に依存している限り、回線速度が遅かったり、サーバへのアクセスが集中したりすると、ストリーミングが中断されてしまう危険性は高い。

これは特に、イー・スポーツなどのVRの対戦型オンラインゲームでは大きな問題となる。VRのイー・スポーツのリアルさは、まさにストリーミングに依存する。しかしこれは、人気が出れば出るほどストリーミングのリクエストは殺到し、サーバの許容範囲を越えてしまうことにもなりかねない。これがVRのスポーツトーナメントなどで発生すると、悲惨なことになる。

こうした状況を回避するために、VRのプラットフォームにブロックチェーンを活用すると、ブロックチェーンのネットワークでつながっている無数のユーザーの間でストリーミングを相互に共有し、いつでも高速で安定したストリーミングを確保できる。

Next: 実際に稼働している5つのプロジェクトを紹介!

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