安易な紙幣の印刷で、相対的に現物資産の価値は高まる
たしかに先のショック以降、日米欧はじめ先進国が印刷してきた紙幣の量は膨大です。
一方でそのようなチープなマネーの借り手はドンドン増え、世界の債務残高は異常な水準まで膨らんでしまいました。
世界の債務総額は247兆ドル(注)で、これはGDPの約3.2倍です。すでにリーマン・ショック時(約3倍)を超えてしまいました。
注)昨年末時点の残高、IIF(国際金融協会)による
はたして、この危ういバランスは今後も維持されるのでしょうか。もし崩れるとしたら、それはいつでしょう?来年でしょうか、5年後でしょうか、それとも50年後でしょうか。
残念ながら僕にはジムさんのような予知力はありません、僕が実践できるのは、危機到来の時期を読むことではなく、危機に備え日ごろから資産の質的分散を行っておくということです。
そして分散しておく先は、金融の世界から距離がある資産…すなわち現物資産です。
具体的には不動産、コイン、宝飾品などで、これらは万一の時に役に立つと思っています。仮に近々破局が来ないとしても…イエ、永遠に来ないとしても、今後もマネーの量が増えてゆくことは間違いないでしょう。
事実、世界経済の減速懸念から、アメリカは既に資金の回収停止を視野に入れ始めました。
今後の世界経済の動向次第で、再びQE(資金供給)に転じる可能性すらあるでしょう。
アメリカで10年近くも景気の拡大が続いているにもかからず、マネーの回収停止を検討せざるを得ない状況…。景気後退のたびに安易に紙幣の印刷に走る結果、市場に滞留する資金は延々と増え、その一方で借り手はこのチープなマネーを借り続ける構図です。
つまり「マネー増殖への依存症」は一時的なものではなく、もはや構造的な現象ではないかと思います。
従ってたとえ金融ショックが起きなくても、マネーは増殖を続けることになるでしょう、人間の欲望のおもむくままに…。そしてその結果、相対的な現物資産の価値は高まらざるを得ません。
つまり危機が訪れても、訪れなくても、質的分散は有効だということです。
image by: el_cigarrito
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2019年2月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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