退職一時金と企業年金の使い道を研究する
では、具体的に退職一時金と企業年金は、どのように使ったらよいのでしょう?
- 株式や投資信託の運用資金にする
- 住宅ローンの返済資金にする
- 旅行や趣味に使う
- 自家用車を買い替える
- 自宅の修繕費など今後の使用計画を決める
よく相談にみえる方が言われます。
しかし根本的なところで、退職一時金も企業年金も老後の生活をする資金の一部ということです。
現役中の家計収支の額は、老後の生活に入ってもあまり増減しません。
どちらかといえば、医療費や介護費用の支払いで家計支出は増える傾向にあり、その増加する支払いを支えていく資金が退職一時金であり企業年金と考えても、考えすぎではないと思います。
では、具体的に使い道を考えてみましょう。
上記のうち(1)の金融商品などの運用資金にすることは、現役中にすでに運用を経験して、収益を得たり損失を被ったりその経験を積んだ方であれば良いのです。
しかし、今までに元本が保証されている銀行の定期預金などのみの経験の方が、歳をとってから元本保証のない金融商品に投資して資産を維持していくことは、危険な行為だと思います。
(2)の住宅ローンの返済に使うことはこのコラムでも何度かお話していますが、住宅ローンの返済期間の初めの方は、毎月の返済額の多くは利息分に返済の割合が多く、繰上げ返済をするとことで借入額が減少し、その分利息の支払い額も減る。また、返済期間も短縮できました。
しかし返済期間の終盤に入ると、毎月の返済額のほとんどが元本分の返済で、退職一時金や企業年金を返済に使っても、たしかに予定よりはやく完済できたという、こころの安らぎを感じることはできるかもしれませんが、元来、退職金一時金や企業年金は老後の生活に使うものです。
ここで住宅ローンの返済費用に使ってしまうと、75歳と80歳頃になって家計が破たんしかねない、客観的なシミュレーションを私は何度も作成しています。
住宅ローンの返済は、少し無理をしてでも現役中に済ますべきでしょう。
使い道の決め方
このように考えますと、まずは、現役中の家計収支の額を算出する。
老齢基礎、厚生年金といった公的年金のもらえる額をねんきん定期便などから推測する。
退職一時金と企業年金の受取額も推測する。
そして、男性の平均年齢82歳、いろいろ女性87歳より少なくても5年先までの家計収支の表をつくり、そのなかに、数値化して予算を入れてみましょう。
必ず、現役中に行ってください。
老後の生活に入ってからでは、何もしないまま1年や2年はすぐに過ぎそのあいだに、退職一時金や企業年金、また公的年金も加速度的にご自身の元から旅だって行ってしまうかもしれません。
『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2019年4月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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