日経平均は大発会から世界同時株安となり、日経平均の算出が行われるようになってから初となる5日続落で1月4日週を終えた。1月11日週は金融イベントを見極めつつ、テーマ性を持った小型株の銘柄選別をする仕込みの場としたいところだ。(『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』株式評論家・山本伸一)
大発会からの5日続落は戦後初。注目はテーマ性の強い個別銘柄
まずはこの1週間(1月4日週)の相場動向を振り返り
読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も旧年同様よろしくお願いいたします。
さて、新年第1週となった今週の株式相場は、堅調展開で終えていた昨年末最終週の流れから一転、休場明け月曜日の大発会は軟調展開。火曜日も見直し買い先行から売り直されると、水曜日、木曜日と連日の調整。金曜日は売り先行から持ち直したものの、3連休を前に手控えられる展開に。
日経平均株価は、昨年末の1万9000円台から、大発会の月曜日に1万8500円台割れ。火曜日も1万8400円を下抜くと、水曜日には1万8100円台、木曜日には1万7700円台まで下押し。金曜日には1万7500円台から1万7600円台まで持ち直したものの、1月8日金曜日の日経平均株価終値は1万7697.96円と、1週間を通して1400円近い下落幅を記録しています。大発会から年初来5日続落は日経平均の算出が行われるようになってから初めての出来事です。
昨年末の最終週では、権利落ちから年末の株価上昇アノマリー「掉尾の一振」で底堅い動きが見られており、日経平均株価は大台1万9000円奪回での越年となっていました。
ただ、年末年始休場明け、大発会を迎えた月曜日には、中東情勢悪化などから米国株安が確認されており、休場期間中の外部要因軟化を嫌気した売りが主導。さらに、さえない中国経済指標で中国株安、米国での富裕層増税、首相のデフレ終息宣言による緩和期待後退なども伝わり、リスク回避姿勢を強める格好。中国株のサーキットブレーカー発動とともに日経平均株価も下げ幅を広げる動きに。
欧米株安に加え、一旦は下げ止まりの見られた中国株の午後取引軟化とともに火曜日も売り優勢の展開。米国株や中国株は下げ止まりの動きが見られたものの、場中に伝わった北朝鮮の核実験観測、水爆実験成功を受けて、水曜日も地政学的リスクの高まりによる調整が働きました。
木曜日も再び中国市場がサーキットブレーカー発動による取引停止となった影響で投げ売りに押されると、日経平均株価も大台1万8000円を割り込む展開。さらに安値引けで先安感が高まりました。
木曜夜の米国株もダウは392.41ドル安と昨年9月以来の下げ幅で3ヵ月ぶりの安値と大幅安。日経平均株価構成比率上位のファーストリテイリング<9983>の下方修正も響き、金曜日も売り優勢の立ち上がり。
ただ、中国株が持ち直したことで外部要因の改善とともに見直し買いで日経平均株価もプラス転換する場面も見られましたが、米国雇用統計を前にイベント警戒は続き、3連休前ということもあって、大引け前にポジションを手仕舞う売りに押されました。
値動きの激しかった銘柄をおさらい
株価指数は5営業日続落で、日経平均株価構成比率上位のファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>らが安く、三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>、みずほFG<8411>のメガバンクも振るわず、指数を押し下げています。
指数レバレッジETFの日経レバレッジETF<1570>、ETFの日経225連動投信<1321>も引き続き売られた半面、日経ダブルインバース<1357>は5日続伸に。
ファーストリテイリング<9983>は7日引け後に発表された第1四半期決算が減益着地となり、通期業績予想を下方修正したことから見切り売りに。ただ、日経平均株価構成比率上位の同社株の調整で、8日金曜日寄り付き算出のSQ値は1万7420.01円と安値算出となり、低めの目標として意識されるなど、相場全体の見直し買いにつながりました。
ただ、ファナック<6954>、ソニー<6758>、マツダ<7261>、日東電工<6988>、ブリヂストン<5108>などは底堅い動き。調整の目立っていた銘柄には見直し買いが入りました。
決算銘柄では、良品計画<7453>が急反発。7日引け後発表の第1四半期決算が大幅増益となり、通期業績予想の増額修正を明らかにするなど、決算評価で買い直されました。ファーストリテイリング<9983>、ハニーズ<2792>ら小売業が売られた半面、同社株の異彩高が存在感を示しています。
また、さくらインターネット<3778>が全市場の売買代金上位に進出、ストップ高まで買い進まれており、全員参加型の人気銘柄に。インフォテリア<3853>とテックビューロとともにブロックチェーン技術で協業すると伝えられ、フィンテック関連人気につながっています。
新興市場ではやはりフィンテック関連のラクーン<3031>が全市場の売買代金上位に進出して活況高。
インフォテリア<3853>、ITbook<3742>、リアルワールド<3691>、フューチャーベンチャーキャピタル<8462>、ドーン<2303>、リプロセル<4978>なども賑わいました。
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