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常軌を逸した金融緩和でも起こらないインフレ…MMT理論を支持する声は正しいのか?=伊藤智洋

リーマンショック後、常軌を逸した金融緩和にもかかわらずインフレが起こりません。そんななかMMT理論を支持する声がありますが、これは正しいのでしょうか?(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2019年6月9日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(日経平均・NYダウの今後のシナリオ、予測の仕方)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

インフレが起こらなければ、どこまでも財政は拡大できるのか

赤字国債を発行して財政支出を拡大し続けられるという、MMT理論

MMT理論(Modern Monetary Theory)というものがあります。通貨発行権があり、自国通貨建ての国債を発行している国は、債務不履行に陥るリスクがないので、インフレ・ターゲットへ到達しない限り、赤字国債を発行して財政支出を拡大し続けられるという考え方です。

資本主義経済は、効率のいい発展を模索しているのですから、当然、緩やかなインフレが望ましいので、消費が落ち込むなら、積極的に金融緩和を実施して、流動性資金を拡大させて、望ましい水準まで消費を押し上げる必要があります。

当たり前の考え方のようですが、リーマンショック後の常軌を逸した金融緩和を実施しても、なお、インフレ圧力が高まらない現状の中で、MMTを推奨している人たちは、中央銀行が自国通貨建ての国債を引き受ければ、どれだけ財政拡大しても、インフレが起こらないかのような拡大解釈をして、財政支出を拡大させて、大規模な公共投資を実施すべきだと述べています。

私はMMT理論がいいとか悪いとかを書くつもりはありません。以前に当メルマガでは、「今後、10年以内の期間で、投機が縮小してゆく」と書きました。

投機が縮小してゆく過程では、どのみち紙のお金(現在流通している通貨)が急激なインフレへ向かい、その結果、紙のお金が紙くずになって、主要国の借金が帳消しにされるので、現行通貨建ての国債を過剰供給して、それを中央銀行が引き受けても問題ないと考えています。

暗号通貨の価値は、発行媒体の信頼度が加味されない

問題なのは、今後、暗号通過へ移行してゆく過程で、歳出を歳入に合わせなければならない状況がくるということです。暗号通過へ移行してゆく過程では、基軸通貨など必要なくなるので、使いやすいもので決済されるようになります。

当然、各国とも、外貨準備などする必要がなくなるので、決済通貨を準備しておくための国債保有を積極的に行わなくなります。

どの国も自国で暗号通過を発行し、自国の暗号通過建ての国債を発行するようになるので、国債の信頼度が一様になり、積極的に赤字国債を発行する場合、魅力的な利回りの設定がなければ、その国の国債へ人気が集まらなくなり、資金調達が難しくなります。

暗号通過の価値は、発行媒体の信頼の度合いが加味されず、単純に供給量と需要量のバランスで決まると考えられます(現在の仮想通貨は、ほとんど決済通貨として使われていません。投機的な価値で価格が動いているので、現状と比較しても意味がありません)。

政府が自国の中央銀行の発行する暗号通過建ての国債を発行し、それを中央銀行が買い取ると、中央銀行が発行する暗号通過の価値が急激に下がり、結果として満足できる資金調達が難しくなってゆきます。

目先、何年かは、極端に財政支出を拡大させて、市場へお金を回して、実体経済以上に景気を拡大させることができるかもしれません。しかし、それは、意図していないとしても、政府が大規模な詐欺を働いていることと同じ結果となります。歳入と歳出の乖離が大きいほど、暗号通過へ移行する過程で、長く緊縮財政を続けなければいけない状況に陥るはずです。

Next: 今後、日本政府はどのような金融政策をとるべきか?

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