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大化け株は地味な業種から生まれる…規格外の利益率をたたき出すハマキョウレックス=栫井駿介

利益につながらないコストは徹底的に削る

その特徴は、徹底したコスト削減と中小業者のM&Aにあります。

創業者で現会長の大須賀正孝氏(78歳)は、叩き上げで作り上げた経営哲学により、利益を出すことを徹底しています。これは、現社長で息子の大須賀秀徳氏(52歳)にも引き継がれています。
※参考:やらまいか物流通業 ~ハマキョウ流・運送屋繁盛記)

コストの削減は決して無理をしているわけではありません。それは数字にも表れています。

各社の業績を見ると、どの会社でも売上原価は売上高の約9割で、ハマキョウも例外ではありません。これは、人件費や車両費をケチっているわけではないことを表します。

ではどこでコストを削るかというと、いわゆる販管費部分です。例えば、本社にお金をかけても利益は上がりませんから、そのような部分を徹底的に削減します。

ハマキョウの売上高販売管理費比率はわずか2%です。他社はこれが5%程度です。10%の粗利益からこれだけの費用が引かれるわけですから、結果として営業利益率は8%と5%の違いとなってあらわれます。

経営に困った中小事業者の「駆け込み寺」

他社より効率的な運営で得た利益の向かう先が、M&Aです。と言っても、同社は無理なM&Aで拡大しているわけではありません。あくまで、相談があった会社の事業を引き継ぐ形を取っています。

国内に運送業者はたくさんありますが、その多くは中小事業者です。彼らは十分な経営ノウハウを持っていないため、価格競争や人件費の高騰に苦しんでいます。それを同社が引き受け、経営を改革して黒字化しているのです。

こうして規模が拡大してくれば、より多くの物流センターの建設ができ、規模の経済が発揮できるでしょう。市場は拡大していますから、それに伴って会社は成長できるというわけです。

大化け株は地味な業種から生まれる

このままの経営を続けられれば、ハマキョウは安定成長を続けると考えます。

ただし、競争が激しく利益率の低い業態ですから、ちょっと気を抜くとたちまち業績が悪化してしまうリスクを負っていることには留意が必要です。すなわち、良くも悪くも経営次第ということです。

財務的には大きな問題は見当たりません。PERは12倍弱とこれまでや同業他社と比較しても平均的な水準です。下がる余地は小さいので、業績が拡大すればそれとともに株価も伸びることが想定されます。

地味な業種ですが、案外このようなところから大化け株が出るものです。今後の動向を注視したいと思います。

ハマキョウレックス<9037> 週足(SBI証券提供)

ハマキョウレックス<9037> 週足(SBI証券提供)

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image by : Dmitry Kalinovsky / Shutterstock.com


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年7月11日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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