アメリカが原油価格を操作可能に
こうなると、原油価格も上がらなくなってきます。米国がシェールオイルの生産を増やしたことで、自由に原油相場を操れるようになりました。
これは、国際情勢を見ていくうえできわめて重要なポイントです。
こうなると、地政学的リスクの捉え方も変わってきます。中東情勢をあまり気にしなくてもよくなります。
イランは窮地に
イランは原油安で焦っています。そこで、欧州勢に会合の開催をお願いしています。
またイランのザリフ外相は、ニューヨークを訪問し、米国の制裁解除と引き換えに恒久的核査察を受け入れる提案を表明しました。
本当に苦しいわけです。
トランプ大統領と親しく、イランとの対話を模索する共和党のポール上院議員とも面会したとされています。
それだけ切羽詰まっているとも言えます。
一方、ポンペオ国務長官が「イランが交渉のテーブルに着く必要がある」とするなど、トランプ大統領は前提条件なしの対話を行う用意があると強調しています。
しかし、それを拒否しているのは、実はイランなのです。
イランはやはり考え方が違うのでしょう。それがイスラム教の教義からくるものなのか、中東諸国の発想からくるものなのかはわかりません。
いずれにしても、苦しいのはイランです。
イランがいつ、どのような形で折れるのか、それとも米国に一撃を加えられ、力に屈する道を自ら選ぶのか。そのあたりを見ていきたいと思います。
トルコも不思議な動き?
一方、興味をもって見ているのは、トルコです。トルコもまた不思議な動きをしています。
エルドアン大統領の強権政治はすでに世界的に知られていますが、それ以上に重要なのは、やはり武器の動きです。
トルコがロシアから武器の購入を進めており、これにトランプ大統領が怒っていることはすでに報道されているとおりです。
トルコは例のカショギ事件の舞台になりましたが、これでやり込められたのがサウジです。
サウジもこれに慌てて、トランプ大統領にすり寄ってきています。
しかし、エルドアン大統領はまだ強権的です。あれだけトルコリラを売り込まれて、経済が疲弊しても、みずからのプライドを優先しています。
国の経済など、どうでもよいかのようです。