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社債分野で巨大に膨れあがるバブルはいつまで保つ?FRBが握る、アメリカ経済の行方=藤井まり子

アメリカの景気拡大期が延長される可能性について

「利下げ」を継続して「債券バブル」温存か?それとも、「利下げ」を打ち止めして「債券バブル」崩壊か?意見が大きく対立するFOMC内部。

パウエルFRBのメンバーたちが、今後「さらなる利下げによって人為的に債券バブルを温存、リセッション入りを回避する覚悟を決めた」ならば(言い換えたら、トランプ大統領に魂を売ったならば)、アメリカ株は景気拡大期を2021年以降まで引き延ばせる可能性があります。

アメリカ株は向こう1年半くらいは「ボックス相場入り」だけで済むかもしれません。

そうなれば、アメリカ経済も「四半期2期連続のマイナス成長(リセッション入り)」は2021年あたりまで回避可能かもしれません。

アメリカでは、9月17日~18日にFOMCが開催され、7月に続いて「0.25%の利下げ」が実施されました。が、この9月のFOMCでは、「その後の利下げ見通し」で、FOMC内のメンバー17人の意見が3つに大きく割れて対立していることが、明らかになりました。

FOMC後の記者会見でも、パウエルFRB議長の発言は想定以上に「タカ派」的でした。

ここはとても重要なことなのですが、
    ↓  ↓  ↓
FOMCメンバーによる「今後の政策金利見通し(ドット・チャート)」では、
・17人のメンバーのうち7人が、今年末までにさらに1回(0.25%)の利下げを見込んでいる一方で、
・5人は金利据え置きを見込み、
・残り5人は0.25%の利上げ(今回引き下げたFF金利を元に戻すこと)を見込んでいたのでした!

今の時点で、なんとなんと5人ものメンバーが「利上げ」を主張していたんですよね!

この意見対立が表していることは、
    ↓  ↓  ↓
・利下げを見込むメンバーの7人は、「今後は人為的に景気を過熱気味にして、人為的に債券バブルを温存させてでも、『アメリカ経済の来たるべく景気後退入り』を未然に防止して、少しでも景気拡大期を引き延ばしてゆこう」と考えている(トランプ大統領へ魂を売っている)ということです。

・残りメンバーのうち5人は、政策金利の引き下げは7月と9月の合計5回ですでに十分で、「アメリア経済が今後減速して、もしかしたら債券バブルが弾けてしまってリセッション入りするとしても、それはそれで自然な景気循環なのだから仕方がない。成り行きに任せよう」「FRBが人為的に債券バブルを温存することには反対」と考えている(大統領の魂を売っていない)ということです。

・残りのメンバー5人は、今の時点で既にアメリカ経済は過熱気味なので、「たとえ近い将来景気減速や景気後退が起こるとしても、利上げは断行して、今現在の景気の過熱をいくばくか冷やさなければならない」「債券バブルは弾けても致し方ない」と考えている(大統領に魂を売っていない。)ということなのです。

すなわち、「今後、人為的に景気を過熱させて人為的に債券バブルを温存してでも、アメリカ経済の景気拡大期を少しでも引き延ばそう」とするメンバーは、半数以下のたったの7人なのです。

その他の半数以上の10人のメンバーたちは、「今後、アメリカ経済が減速してゆくのは景気循環から見て自然なこと。不自然な利下げで人為的な債券バブルを温存してはいけない」とする立場なのです。

「9月18日の想定以上にタカ派的なFOMCの発表」を受けて、マーケットがネガティブな反応を示さなかったことは、とても意外です。

かように、バブル(陶酔)が弾けるのは、いつの世も、とてもとても時間がかかるものなんですね。

Next: この債券バブルがはじけるのは、いったいいつになるのか?

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