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NY市場の人気とともに日本閑散…為替から読む、外国人投資家からみた日本市場の変化=若林利明

日米の為替の動きは企業の収益に大きく影響を与えることから、株式市場に大きく影響を与えます。そこで今回は、為替の変化から日本市場を探ってみましょう。(『資産運用のブティック街』若林利明)

筆者プロフィール:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。現在は創価女子短期大学非常勤講師、NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」(近代セールス社)など。

※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2019年9月3日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

米国視点で日本の株価変動を探る

外国人投資家の投資行動を吟味し、日本の変化を読む

日米の為替の動きは、株式市場に大きく影響を与えます。為替の動きが企業の収益に大きく影響を与えるからです。とりわけ日本の株式市場はその影響を大きく受けてきた歴史があります。

以下で2012年末から直近の2019年8月に至る日米の株価の動きをグラフに示し、さらに日本株市場のターニングポイントとなる時点の為替水準(円対ドル)を表示しました。まずニューヨーク株式市場の動きを中心に、さらに同期間の東京市場はどうなっていたのか、その間の為替の動きも併せて、外国人投資家のグローバルな投資眼を意識して探ってみることにします。

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東京市場の節目となるような動きを【1】~【4】として区分しました。それぞれの特徴をニューヨーク市場を中心に捉え、その動きの流れから東京市場の動きを検証しました。

いわば外国人投資家の東京市場に対する投資スタンスをニューヨークから見たものです。当然筆者なりの解釈が入っております。月次の外国人投資家の東京市場における売り買いのデータ等、諸指標を熟読玩味する中で、一定の推論を展開していることになります。

<【1】の期間>

米国経済はリーマンショックからの立ち直りが十分でありません。住宅着工、10年国債の金利、ISM指数いずれも景気回復を期待するような動きですがまだ不十分な状態です。ニューヨーク市場もそれを映して期待値はあるものの積極的に買い上がる程でもありません。

一方、東京市場はリーマンショック後の円高により企業収益は低迷しておりましたが、2012年の選挙により自民党政権が復活、大きな政治的な変化がありました。これが日本株へと積極参入する外国人投資家の第一歩です。それ以前の収益低迷期にも買い越し基調でしたが、ブックバリューを尺度として用いることに象徴される下値不安を探る慎重な買い方でした。

もたつき感が払しょくできない米国経済と比較すると、東京市場は折からの円安への反転もあり約40%の増益予想が見込まれ、おひざ元のニューヨーク市場と比べると輝き方が際立ちました。2013年の日本株買い越し額は15兆円を記録しました。

<【2】の期間>

米国経済はもたつき感ある中、金利低下が大いに景気を刺激しました。10年物国債は1.5%レベルまで低下、さらに失業率も回復傾向が明確となり、景気指標の好転を待つ段階になりました。急激に上昇し伸び切った東京市場から一部ニューヨークへと関心が移る状況が生まれました。折からの円高は日本株もドルで評価される外国人投資家にとって、日本株部分撤退のチャンスでもあります。結局東京市場では2016年、外国人投資家は3兆7000憶円の売り越しになりました。

<【3】の期間>

経済にようやくギアが入ったニューヨーク市場では好業績株を買い上がる格好で株価は上昇しました。約一年間の調整を経た日本株もようやく落ち着くように見えましたが、積極的に買うほどの収益状況でもなく東京市場のもたつき感が目立ちます。東京市場の銘柄調査がより深化する中で中小型株の動きが顕著になります。それが小型株ブームを作り出したともいえます。しかし。トータルとしての外国人投資家は結局、売りを継続です。

<【4】の期間>

ニューヨーク市場の堅調が目立つようになります。その動きの裏返しとして東京市場から人気が離散してゆきます。その動きが現在まで継続中です。しかし、日々の売買代金が限界近くまで細る市場環境ではこの水準から積極的に売る理由はありません。

日本人投資家も下がれば買うというスタンスに変化はありません。また国際比較でも日本株のPER、PBRは低い水準にあることは誰もが認めております。ニューヨーク市場のもたつき、あるいは中国問題に絡み米国の企業業績に思わしくない状況が出始めるようになると相対的に日本株が浮上してくる可能性もあります。

大雑把にそれぞれの節目におけるレビューをしてきましたが、こうした動きの中で東京市場も内なる変化も生じていたようです。

ある調査機関によると2018年の一部上場企業の年間配当支払いはおよそ14兆円です。2013年は8兆円程度でしたので、5年の間に6兆円も増加したことになります。さらに企業の自社株買いの積極化です。2018年の自社株買いは6兆円程度と推察されております。この行動は発行済み株式の減少に繋がり、EPS、BPSの増加となり株価の割安感が増幅されることになります。

株式交換によるM&Aが盛んにおこなわれるようになっておりますが、その際、高株価であれば譲渡株数が少なくてすみ経営者としても歓迎です。こうした、株価形成にとってプラスと思われる変化が浸透していることも東京市場のプラス要素として注目することが必要です。

※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2019年9月3日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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imege by : photo.ua / Shutterstock.com

資産運用のブティック街』(2019年9月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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