危機感を持ったPASMO(パスモ)が動く
その動きは、首都圏のサラリーマン・OLのうち、PASMO(首都圏の私鉄事業者が発行する交通系電子マネー)の利用者たちを直撃しました。続々とSuicaに乗り換え始めたからです。
Suicaでも首都圏の私鉄とJRの両方に乗れるので、無理にPASMOにこだわる必要はないわけです。
「同じ乗るならポイントがたくさん貯まる方がいいから」(40代サラリーマン)という判断でした。
それを知ったPASMO陣営は、焦ったようです。油断していたら置いていかれると思ったのかもしれません。予定していた「キャッシュレス・消費者還元事業」のスタートを早めました。
PASMO陣営が準備に時間がかかったのは、関東圏の鉄道事業者27社、バス事業者33社の大所帯で、何をするにもまとまらないためです。
モバイルPASMO(スマホにPASMOを入れて使える機能)が未だに登場しないのは、このためだともいわれています。
PASMOに続いて関西勢が動いた
ところが、9月17日になって突然のようにPASMOのホームページに還元事業参加の知らせがでました。これには、みなが驚きました。「いよいよやる気なんだ」と、私もそう思って、PASMOの動きを取材しようとしました。
すると、すぐにICOCA(イコカ)も参加するようだという噂が流れました。ICOCAはJR西日本の交通系電子マネーでした。Suicaほど普及していませんが、スペックはSuicaとほとんど同じなので便利に使えます。
そのICOCAが参加するとなれば、「ウチも」というので、今度は同じ関西の私鉄のPiTaPa(ピタパ)がサービス参入を発表しました。
PiTaPaは大阪の地下鉄や阪急、阪神といった私鉄で使うことができますが、ここまで手間取ったのも理由があります。他の交通系電子マネーとの違いを出すために、特にSuicaやPASMOとの違いを出すために、「入会審査」を設けるなど、独自の後払い方式を採用していましたから、仕組みが複雑なのです。それもあって時間がかかったようです。