国内株や為替での妙な「忖度PKO」はやめるべき
まぁ国に極めて近い組織ということで、安倍政権や財務省に何かといい顔をしたいという気持ちはわからなくはありません。
しかし、民間企業の投資資金ではなく、国民から保険の名目で集めた資金での運用ですから、大損したら髪の毛がぜんぶ抜けるくらいの緊張感をもって取り組んでいただきたいわけです。
水野CIOは、カルパースの理事会で「全資本市場に分散投資した結果、14兆円損しました」などとのんきに発表している場合ではないことを、もっと真剣に考えていただきたいところです。
とくに日本株で大損をしている点は非常に納得がいかないところがあり、結局、自ら日銀とともに買い支えに入っているから、こういう状況に陥るのではないかと勘繰りたくなる次第です。
もちろん投資の世界ですから、儲かることもあれば、損が出ることもあるでしょう。
しかし、世界の名だたるペンションファンドと比較して、GPIFだけが大暴落相場でもないのにとりたてて運用利率が低いというのは、明らかに問題があることと示唆しているといえます。
見直しは5年に1度では済まないのが足元の相場状況
このGPIFでもう1つ「いかがなものか」と思うのは、投資方針を5年に1度しか見直さないという点です。
いまどき少なくとも半年に1度、さらにやる気のあるところなら四半期ごとに投資方針の内容と実相場に乖離がないかどうか常にチェックして戦略を変えることぐらいは、当たり前の話なわけです。
しかし、どうもここは親方日の丸、かつ損失が出ることに対する罪悪感というものをまったくお持ちでないようで、このあたりの機微のレベルの低さには呆れるものがあります。
かの有名な天才投資家ウォーレン・バフェットが率いる持株会社バークシャー・ハサウェイでさえ年間のS&Pの上昇率を超えたパフォーマンスが出ない世の中ですから、5%程度の収益をコンスタントに上げることの難しさは相当なものです。
とはいえ、国の人工値付け相場に加担するようなことでその利益率を下げているのでは、お話になりません。
GPIFは足元では、電力発送電や鉄道などのインフラや国内不動産に投資をしたりして、分散投資先を増やしているようです。
そんなことをする必要が本当にあるのかどうか、またまたかしげたクビが折れるぐらいかしげたくなる状況です。