株式投資をやってみたい人は少なくありませんが、知識がないという理由で始めていない人も多いようです。しかし、株式投資はやりながら学んでいくものなのです。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
投資の初心者はまず失敗しろ!勉強だけでは身につかないこと
投資をやってみたいと思っても、ほとんどの人がやっていない
株式投資をやってみたいと考える人は少なくありませんが、実際にやっている人はそう多くありません。日本証券業協会の調査によると、現在株式を持っている人の割合は12.2%にすぎず、そのうち約4割は1銘柄のみの保有です。
※参考:平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)
したがって、現時点で2銘柄以上を保有している個人投資家はわずか7%程度です。これは、株式投資を始めるハードルがいかに高いかということを示しています。
そのハードルとは、「十分な知識をまだ持っていない」「値下がりの危険がある」ことが上位に挙げられています。
もしあなたが「十分な知識を持っていない」という理由で株式投資を行っていないとしたら、心配する必要はありません。なぜなら、株式投資に対する完全な知識を持っている人などいないからです。
私もいまだに、毎日のように株式投資について新しい学びがあります。「こんなことも知らずによく投資していたな」と思うこともしばしばです。
あのウォーレン・バフェットですら、一度投資したIBMから撤退するなど、いまだに失敗しています。
逆に言えば、完全な知識が存在しないからこそ株式投資はおもしろく、また大きな利益を出すチャンスが眠っているのです。
株式投資のメリットは「少額」「損失限定」
そんな中で間違いなく言えることは、とにかく始めてみなければ知識は得られないということです。「値下がりの危険がある」などと言っていては、いつまで経っても利益を得ることなどできません。
株式投資のいいところは、少額から始められて、なおかつ損失は投資額までで抑えられるということです。
例えば、10万円を投資してそのままその会社が倒産したとしても、損失額は10万円が限度です。
これが不動産投資だったらどうでしょう。アパートを1棟買おうとすると、1億円くらいしてもおかしくありません。そうなると、常識的な配分で自己資金は1,000万円、借金が9,000万円となります。
もしこれが「かぼちゃの馬車」のような詐欺的な物件だったとしたら、利益が出ないどころか9,000万円の借金の大半を背負ってしまうことになります。物件価格が3,000万円だとしたら、売却できても7,000万円の借金が残ってしまうのです。
株式投資は、やばいと思ったらすぐに売ってサヨナラできますし、最悪ゼロになるだけです。この柔軟性が、株式投資を始めるにあたっての大きなメリットと言えます。
もっとも、株式投資でも借金を背負う場合があります。それが「信用取引」です。これを使えば自己資金の3.3倍までの金額を取引できますが、損失額もそれだけ大きく動きます。したがって、自己資金以上の損失もあり得ます。
信用取引をすることで、株式投資の「損失限定」というメリットを捨て去ってしまうことになります。初心者はこのメリットを活かすためにも、信用取引から入ることを避けるべきなのです。
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