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スマホ販売の7割「不正契約」の衝撃。現役店員が告発する値引き禁止ほかルール改正の裏側=山岡俊介

驚くべき違法契約の手口

違法契約については、こんな手口とのことだ。

<個人契約の場合>

まず個人契約の場合、販売店側は次の手順でスマホを売る。

(1)本人確認は原本(多くは運転免許証)で行う
(2)契約者本人と店頭で直接確認する

これは「携帯電話不正利用防止法」で定められており、違反すれば最大2年の懲役に問われる。こうして契約されたスマホが転売され、「振り込め詐欺」などの犯罪に利用もされるからだ。

告発者によると、「ところが、誰かの運転免許証のコピーをラミネート加工し、本物の運転免許証に似せたものがいくつもまとめて持ち込まれ、店側はそれで確認。本人には会わないから、当然、契約時のサインは本人から取れないので、持ち込んだ者、あるいは店側が筆跡を変えて代筆。なぜ、そんなことがまかり通るか? それは店側では店長クラスが組むから。平の店員では店側のチェックが入るからすぐバレます」とのこと。

<法人契約の場合>

一方、法人契約の場合は、その法人の登記簿謄本と社員確認、または法人印鑑登録証明書だけ出せばOK

1台ずつ、個人のように契約する必要はないから、さらに大量かつ簡単に違法契約できるという。

もちろん、この違法契約の場合も店側は大量購入してもらう(まとめて契約が取れる。出世にも通じる)から、格安ないしバックマージンを約束。それだけ購入側は儲けが大きい。

そして、正規の購入者にそのツケが通信料の高値というかたちで来ているわけだ。

不正契約に手を出すのはただただ儲けたいブローカー

こうした買い手の方は、犯罪組織の者というのは稀で、何でも儲かる話に手を出すいわゆるブローカーともいわれる者が多い。

転売した後の使い方など、知ったことではないというわけだ。その儲けで自宅を建てた者を知っているそうだ。

告発者はさらに続ける。「それに、きついノルマ主義の下、多かれ少なかれ皆、こうした“水増し契約”に加担しているので、よほどの憎まれ者でもない限り、実は周りは見て見ぬふりをしている。ですから、表面化するのはごく稀。それに、たとえ表面化しても、店の信用にも関わるので刑事告訴せずクビでまず済む。で、クビになった者はさすがに同業他社にはお触れが出るので移籍できないが、手っ取り早く稼げるということで、また新たに店の者を引き入れて裏でやるわけです」。

Next: ある大手販売会社支店長も不正販売? 次々と不正契約の新手が登場する…

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