最も悪質な行為は「不正会計」
上場時に無理をした企業では、やがて化けの皮が剥がれていきます。MTGはその典型と言えるものです。
最もヤバいと言える行為は不正会計です。上場から1年も経たない2019年5月13日に、不適切な会計処理に関するプレスリリースが発表されています。

出典:プレスリリース
内容を簡単に触れると、中国の倉庫に商品を持ち込んだだけで「売上」として計上していたというものです。通常これだけでは売上になることはありません。商品は倉庫に残ったままですから、売れなければ戻ってきてしまい、当然お金は入りません。
これは「架空売上」であり、不正会計でよく利用される手口です。その目的は、業績を少しでも良く見せることであり、見抜けなかった監査法人(トーマツ)にも落ち度があると思いますが、会社としても非常に悪質です。
投資家を騙す意図が明確なので、もしそのような銘柄に遭遇したらすぐに「売り」です。なぜなら、その後も次々に悪い情報が舞い込んで来る可能性が高いからです。
今回のMTGのケースでも、不正会計発覚から半年後の現在、今度は「棚卸資産の評価損」という形で巨額の赤字を計上することになりました。売れない商品が倉庫に残っていたのだから当然です。

出典:プレスリリース
「営業キャッシュフロー」がマイナスの会社を避けるべき理由
不正会計まで行かずとも、企業ではこのような事例があとをたちません。投資家はどのように見分けたら良いのでしょうか。
財務諸表の詳細を見れば、読み慣れた人ならピンとくるものですが、そうでない人はなかなか難しいものです。そこで注目すべきなのが「キャッシュフロー」です。

出典:株探
MTGのケースでは、2018年9月期(不正会計発覚前)に営業キャッシュフローが赤字になってしまっています。利益が黒字なのに営業キャッシュフローが赤字ということは、実際はお金が入ってきていないということです。
実は、損益計算書というはある程度の「ごまかし」が効きます。収益や費用の認識時点は操作できるからです。
一方、キャッシュフローはごまかしが効きません。金庫にいくら入っているかは誰が見ても明確です。営業キャッシュフローがマイナスということは、営業を続けるほど、お金がなくなってしまうということです。
もちろん例外はあります。しかし、本当に良い企業は間違いなくお金を増やしていくものです。なぜなら、企業の最終的な目的とはお金を増やすことだからです。
したがって、初心者は「営業キャッシュフロー」がマイナスの会社は避けるようにしするのが無難と言えます。