家計消費がシェアダウン
これでは、消費が増えないのも仕方ありません。
今年7-9月期の実質家計消費額(実際の支出を伴わない帰属家賃を除く)は年率240.3兆円ですが、97年の7-9月期の家計消費が234.7兆円ですから、この間ほとんど増えていないことになります。
この間GDP(国内総生産)は増えているので、GDPに占める家計消費の割合は、97年当時の47.1%から、足元は44.4%に低下しています。
アベノミクスでは雇用賃金が増えたと安倍総理は豪語していますが、この間も賃金は増えず、消費のシェアダウンはむしろこの間に大きく進みました。
因みに、安倍政権が誕生した2012年10-12月期のGDPに対する家計消費の割合は47.3%あり、97年と変わりません。
消費がシェアダウンしたのは、安倍政権の7年間で顕著に進んだことになります。
円高の賃金抑制と政府支援
日本の賃金が世界でも異例の減少を見た背景にはいくつかの要因がありますが、中でも大きかったのが80年代、90年代に急速に進んだ円高の影響です。
1985年の「プラザ合意」を機に、ドル円は1ドル240円から一気に120円まで円高になりました。これも90年には一旦160円近くにまで戻したのですが、95年4月19日には80円割れとなりました。いずれも短期間にドルの価値が半分になりました。
国際競争にさらされる企業にしてみれば、輸出品は同じものを輸出しても受け取りが半分になり、輸入品と競合する企業は、海外の競合品が半値になるわけで、これに対抗するためにはコストの大幅カットが必要になります。
最大のコストが人件費なので、人件費を海外と競争できるレベルまで落とす必要がありました。
もっとも、日本ではいきなり賃金を半分にすることはできないので、あらゆる合理化努力を進め、多くの企業が国内生産から海外生産にシフトする中で、国内の人員カット、人件費カットを進めました。