激減する日本の中産階級
高度な資本主義国というのは、中間所得のいわゆる自他ともに認める中産階級という層がかなりの厚みを持って存在していることが、資本主義を継続させる重要な維持要件となっています。
しかし米国でもこの中間層というのは急激に姿を消しつつあり、ほんの1%の莫大な富裕層と残りはほとんど貧乏人だけで構成される完全に構造破壊社会が生成されつつあるわけです。
これは日本もしかりで、上層の所得層はそれなりに増えているものの、長く国内社会を納税の面でも消費の面でも支えてきた正社員のサラリーマン層が年々激減しています。
そして、最後の砦ともいうべき40代のもっともライフステージ的に様々な方面での消費を余儀なくされる層が、安定収入を得られなくなる社会が示現しています。
つまり日本は、米国よりもさらに深刻な資本主義社会の崩壊への道に突き進もうとしている状況なのです。
終身雇用と企業内失業者の雇用維持が、日本の一定以上の労働分配率を支えていた
つい20年ほど前まで、国内社会は良くも悪くも終身雇用が維持されていました。バブル崩壊後のデフレ低成長が続く中でも、国内の雇用形態の特殊性から、労働成果の低い、いわゆる企業内失業者も放逐されずに維持されてきました。
そのことが、ある意味で国内の労働分配率を維持し、一定の中産階級の数を保つことに貢献してきたといえます。
しかし40代の正社員から必要のない人材をどんとんリストラしていくという足元の企業の姿勢は、完全に終身雇用を終焉させる動きになっていることを改めて感じさせられます。
それとともに、これまでかなりのボリュームで維持されてきた中間所得層が消滅に向かおうとしている状況が顕在化していることがわかります。
実際この中間層の消滅により、年収300万円もしくはそれ以下の世帯が急激に増加しているのは事実で、ごく一部を除けば、1億総低所得社会がすでに現実のものになっていることに気づかされます。